今日の授業も残すところ
あと一時間。
張り切って移動教室をしてる俺!!
なんで張り切ってるってそりゃ
先輩の教室の前を通るからに
決まってるっしょ?
ただでさえ俺は後輩なワケだし?
少しでも
先輩の側にいたいじゃん。
あと少しであの人のいる
3年B組─…
「いーなぁっ!!」
「キャーッ!!」
目的である教室から
女子…いや男子もいる
そいつらの
騒ぐ声が聞こえてきた。
「…何にそんな騒いでんだよ」
こんだけ声が聞こえたら
気にならないワケがない。
「ん-…?」
興味本位で覗いた俺。
瞬間、見なきゃよかったって後悔した。
「丸井くんっ!!」
「ぅ゙…んな強く抱きつくなよ」
「おーおーブンちゃんえぇのぅ」
「黙れ仁王っ」
…え?
何…何やってんのあれ…
…ダメだ
俺バカだから理解出来ねぇ…
こんなことなら"レイセイさ"ってやつ身に付けとくんだった。
怒りとか疑問とか不安とか
いろんな思いが混ざってて
頭ン中ぐっちゃぐちゃ。
とりあえず俺が見てるなんて
あの人達に
バレちゃいけないと思って
立ち去ろうとした時。
「─…!!」
どうしよう。
目が合った。
クラスの女子に
抱きつかれたままの丸井先輩が
俺を見てる。
このまま無視して
逃げるのも先輩に失礼だし
俺なりに笑顔で手を振って。
そのまま駆け出した。
授業なんて出られるはずもなく
俺はよくサボりに使う
屋上に行った。