3 | ナノ


「…お前なぁ」


こっちは真剣に話してるってのにこいつ一発殴ってやろうか?


「すまんすまんっ!ブンちゃんにも可愛いとこがあるんじゃな」

「はぁぁあ!?」

「まぁ、頑張りんしゃい」

「な、何をだよ?」

「それは自分で考えんと。あんまり赤也をいじめるんじゃなかよ」


…意味わかんねー
赤也の態度もわかんねーし
仁王の言ってることも
わかんねー


「っんだよ二人して!」


一番わかんねーのは、会話をやめて去ろうとした赤也に物足りなさを感じた自分。


「…くそ、赤也のバカ」


***


長い長い授業も終えてやっと部活の時間。普通に部室に行くはずだったのに英語の補習で先生に捕まってたら少し遅くなってしまった。


「やっべー早く着替えねーと!」


部室に入るとほとんどみんな着替え終わっていた。そんな中俺も着替えていると背中に感じる視線。


「…あの」

「…」

「あの、丸井先輩?」

「なんだよ」


え、"なんだよ"って
こっちのセリフじゃない?


我慢しろ、
我慢しろ切原赤也。
ここでいつものテンションになったら先輩の気持ちを知れなくなる


「…いや、いいです。先輩早く部活行かないと遅れますよ?」

「待ってんだろぃ」


待ってる?
誰を?


「えっと、もしかして…俺待ち…ッスか?」

「他に誰がいんだよ」

「す、すいません…てかホント遅くなるんで先行ってくださいよ、丸井先輩まで怒られたらどーするんスか?」

「…そーかよ…そんなに俺といたくないんだ…」

「え?何言って─」

「ばーか!お前なんか、嫌い」

「ちょ、先輩っ!!」


追いかけるヒマもなく勢いよく飛び出していってしまった。


…最、悪。
ナニコレ、何でこうなった?
俺はただ先輩の気持ちが知りたかっただけなのに。


そもそもそれが間違い?


先輩の気持ちなんて初めから分かってるじゃないか。


「…っ丸井先輩!!」


どこに行ったかなんて分からないけど俺も部室を飛び出した。


行き先は分からないけど今は放課後で部活の時間。行けるところなんて限られてくる


「…っは…はぁ…いた…っ」

「!…追いかけてくんなよ」


俺も先輩もよくサボる場所、
そう屋上。
よくよく考えたら先輩が行くとこなんてここしかなかった。


「丸井先輩…」

「来んなよ…早く部活行け」

「部活なんかより先輩が大事」

「ちょ、あ、かや…っ!?」


まったくこっちを見ない先輩を後ろから抱き締める。


ひどい誤解をされてる今の俺がこんなことするんだから、先輩がすごい驚いてるのが伝わってくる。


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