2 | ナノ


「…先輩、俺もね、先輩が…丸井先輩がいればそれでいい、ずっと一緒なんだって思ってた」

「はは、マジかよ?」

「俺、先輩のこと大好きだから、だから、えっと…」

「…さんきゅ、分かったから」


上手く伝えられない言葉を全部先輩は汲み取って、優しく俺の頭を撫でてくる。


俺は先輩が大好き、
それは前も今も変わらない


ただ、分かったことがある


恋人にしたい想いより、後輩としての想いが強いこと


「あの、先輩、弟と勘違いしてません?」

「あぁ悪ィ、勘違い勘違い」

「ちょっ酷ー!」

「うっせぇなぁ」


──あぁそうか、俺は
寂しかったんだ


先輩に好きな人が出来たから、あんな気持ちになったんじゃない


もう関われない、
先輩がいなくなる、
そんな気がしたんだ


「…先輩、」

「あ?」

「ずっと一緒、スよね」

「はっ…ほんと、ばーか」

「へへ、分かってるッスよ」


どうかこの先、
先輩の歩く道が
幸せであるように


辛い思いをしてないだろうか、嬉しいことがあるだろうか、


今日もまた、俺の大好きな笑顔でいるだろうか─


きっとそんなことばかりを願うのだろう


「あ、虹」

「は、虹?…雨なんて降ってなかっただろーが」

「でもあるんだからいいじゃないっすか!超綺麗ッスよ!!」

「ふっ…そうだな、超綺麗!」


見上げた先には
青空にかかる七色の橋、


隣にいるのは─


(俺の大好きな眩しい笑顔)


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