「…先輩、俺もね、先輩が…丸井先輩がいればそれでいい、ずっと一緒なんだって思ってた」
「はは、マジかよ?」
「俺、先輩のこと大好きだから、だから、えっと…」
「…さんきゅ、分かったから」
上手く伝えられない言葉を全部先輩は汲み取って、優しく俺の頭を撫でてくる。
俺は先輩が大好き、
それは前も今も変わらない
ただ、分かったことがある
恋人にしたい想いより、後輩としての想いが強いこと
「あの、先輩、弟と勘違いしてません?」
「あぁ悪ィ、勘違い勘違い」
「ちょっ酷ー!」
「うっせぇなぁ」
──あぁそうか、俺は
寂しかったんだ
先輩に好きな人が出来たから、あんな気持ちになったんじゃない
もう関われない、
先輩がいなくなる、
そんな気がしたんだ
「…先輩、」
「あ?」
「ずっと一緒、スよね」
「はっ…ほんと、ばーか」
「へへ、分かってるッスよ」
どうかこの先、
先輩の歩く道が
幸せであるように
辛い思いをしてないだろうか、嬉しいことがあるだろうか、
今日もまた、俺の大好きな笑顔でいるだろうか─
きっとそんなことばかりを願うのだろう
「あ、虹」
「は、虹?…雨なんて降ってなかっただろーが」
「でもあるんだからいいじゃないっすか!超綺麗ッスよ!!」
「ふっ…そうだな、超綺麗!」
見上げた先には
青空にかかる七色の橋、
隣にいるのは─
(俺の大好きな眩しい笑顔)