好きな癖に馬鹿みたい | ナノ


「せんぱーいっ」


俺は遠くに赤い髪のあの人を見つけて寒いってのに全力で走ってしまった。


「はよっス丸井先輩っ」

「うわ赤也!?」

「うわってなんスかうわって!!」


なんか朝から俺の扱い酷くない!?
こっちは必死に来たのにさ!!


「あ、いや悪ィビックリしてさ」

「ちゃんと呼んだじゃないッスか?」

「"せんぱーいっ"だけで分かるかよぃ。何人先輩いると思ってんだ?」


あ、今俺バカにされてるよね?
たくさんいることくらい
俺だって知ってるし。


「1人じゃないんスか?」

「お前の目は節穴か」

「だって俺の先輩は丸井先輩だけッスもん」


でも大勢の中で呼んだのに
先輩だって振り返ったじゃん。


「なんだよそれ?おもしれー奴」


一瞬固まった先輩が
俺の頭をわしゃわしゃしてきた。


あーなんか…
もう幸せかも…


「ほら行くぞ?ここまで来て遅刻とかありえねぇだろぃ」


最後に軽く頭を叩いて
目の前を走っていく先輩。


「あ、ちょ待ってくださいよ!!」


慌てて駆け出して
丸井先輩の横に行く。


「学校まで競争な」

「あ、いいんスか?勝っちゃいますけど」

「るせー。よーいドンッ」

「うわずりぃッスよ!!」


今日は先輩と一緒に登校。


今はまだ先輩後輩だけどさ
こんなことで超幸せになる俺って
やっぱバカなんかな。


きな癖に馬鹿みたい
(はい俺の勝ちー)
(くそっバカ也の癖に生意気!!)


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