(光謙WD)
「謙也さん、」
「なん?」
「なんか俺にして欲しいことあります?」
「…は?」
俺の気持ち
突然の俺の質問にきょとんとする謙也さん。
「え…っと…光?」
「はい」
「いや…急にどないしたん?どっか打ったか!?」
「アンタやないんやから。」
相変わらず失礼やな、と返ってきたがそこは聞かないフリをしておいた。
俺にとっては全く急じゃないが、普段の俺の態度や性格のせいか謙也さんにとっては一大事…らしい。
「なぁ光」
「なんですか?」
「ほんまどないしたん?」
「そない気になりますか?」
「当たり前や!珍しすぎて逆に怖いわ!」
謙也さんも十分失礼やと思うんは俺だけやろか…
それを言えば謙也さんのことやしきっと、お前に言われたない!とか言うんやろな。
今は機嫌損ねたないし
言わないどきます。
俺が謙也さんにあんなことを聞いたのは思い付きって訳ではない。
理由は1つ
2月のある日と対になっていて、大事な人にお返しをする日、
まぁ、今日はホワイトデーってことっすわ。
「で、どうなんすか?なんかありません?」
「待て待て待て意図が分からへんねん意図が!!」
「はぁ…めんどくさい人やなぁ」
「おーおー考えとること口に出とるで光くーん」
「真実やないですか」
一見、同じ部活の先輩後輩の謙也さんと俺はいわゆる恋人というもので、バレンタインデーにも謙也さんからちゃんと貰っている。
さっきも言ったが、普段の態度や性格からしてお返しなんてガラじゃないけど相手が相手なわけで。
謙也さんやから、
お返ししよ思てんすよ?
少しは察してくれへんやろか…
「…ほんまに分からへん?」
「ほ、ほんまも何も…」
「はぁ」
「溜め息やめやっ!」
…溜め息をつきたくもなる、まさかここまで疎いとは。
「…鈍すぎるんも大概にしてくださいね。」
「鈍っ─」
「今日は何月何日」
「へ…3月……14日…!」
「そうですね、謙也さんの誕生日の3日前です。」
「おま…よぉ覚えとるな」
「当たり前っすわ。今日が何の日か分かりました?」
「ぅ…お、おん」
これで分からなかったら実力行使に出るとこだった。
「謙也さん、くれたでしょ?俺にもお返しさせてください」
「う……せ、せやなぁ…」
さっきまで普通だったこの人が、今は少し照れながら俺のことだけを考えている。
自分より背も高いこんな先輩を"愛しい"と思うあたり、俺自身相当彼に酔ってんなぁ…と思う。