「へへ、すげー嬉しいッス」
「わざわざ俺が来てやったんだから感謝しろ?」
「はいはい、ありがとうございますー」
「ってのは冗談で。」
「冗談?」
「…おぅ。…俺が…、」
俯いたまま急に俺に抱きついてきた先輩。
すっごく可愛くない?
何時にもなく甘えてるってか…とにかく可愛い!!
顔を見られたくないんだろうと解釈して、そのまま抱きしめ返せばその続きを言ってくれた。
「せ、先輩っ?」
「…俺が、…っ俺が会いたかったんだよ…」
「っ…!」
まさか。
まさか先輩も同じことを考えていたなんて思ってもみなかった。
「俺もッス!!俺、朝からずっと先輩のことだけ考えてた!ずっと、…先輩に会いたいって」
言いたいことを伝えるように、さっきよりももっと力を込めて抱き締めた。
「は……ばーか。」
すごく、
すごく優しく、
優しく笑ってくれた。
「もっと早く言えっての。いつでも会いに行ってやるよ」
「ほ、ほんとッスか…っ!?」
「嘘言うかよ。」
「先輩、好き、すごく好き」
まだ多少俺を支配してる熱の勢いに任せて先輩へ想いを伝えていく。
「先輩大好きッス!愛してます、世界で…一番っ」
「っわ、分かったからっ!!恥ずかしいことばっか何度も言うなっ」
「先輩は…言ってくれないんスか…?」
少し寂しげに言えば、こういうのに弱い丸井先輩がすぐに折れることを俺は知ってる。
「〜っ…俺だって…赤也が、…好きだ…」
「それだけ?」
「…っ愛してる」
「ふ…ありがとうございます」
俺の大好きで可愛い恋人は、無駄に男前でプライドが高いけど、やっぱり世界一愛しい恋人。
学校に行きたかった理由なんてたった一つ。
"だって俺は──"
(先輩に会いたかっただけなんだ)