3 | ナノ


「あかや…?なんだよ急に…」

「襲われたいの?」

「へ…」

「あんまり可愛いことばっか言ってると、ホントに襲っちゃうよ?今ココで」

「っ!な、なにバカなこと言って」


壁際に追いやって、見下ろした先にあるのは真っ赤になった先輩の顔。動揺しているのか全身に力が入って固まってしまった。


「…本気だけど?」


徐々に顔を近付けていくと、先輩は目をぎゅっと瞑って俺の服を握りしめた。


「えっ、ゃ…ッ、ぅぅ」

「なーに可愛い声出してんの、こんなとこで何もしませんよ」


かわいい。もっともっと意識すればいいのに。


このままキスなんてしてしまったら、きっとそれだけじゃ済まない。なんとか思いとどまった俺は、コン、と先輩の頭を叩いて誤魔化した。


ほっとした表情をする先輩。そんな、思わず抱きしめたくなるような時間も一瞬で終わり、続いて始まるのは先輩からの罵倒の嵐。


「〜〜バカ!変態!こんなとこで変なことすんな!!」

「こんなとこ、じゃなかったらいいんだ?」

「っそーゆーこと…言ってんじゃねぇよ!」

「あーはいはいすいませんでした、じゃあ先輩ウチおいでよ」

「は…?」


きょとんとする丸井先輩をぎゅーっと抱きしめる。腕の中で暴れてるけど気にしない。もういいでしょ、いっぱい我慢したし、我慢も限界だし。


「だからっ、なんで赤也の家行かなきゃなんないの…っ」

「見せてくれるなら生で見たいじゃん?」

「な、にを…」

「あれ、自分で言ったこともう忘れたんスか?今日買ったやつ、見せてくれるんでしょ?」

「!ッ〜やっぱやだ!!」


んな休日
(…っ…早く、恥ずかし…ぃ)
(あ、すいませ、…写真撮っていい?)
(や、だ…っ赤也きらい…っ)
(あーくっそ、萌える)


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