4 | ナノ


「〜っつーか!信じたんならもういいだろぃ!」

「へ、何が?」

「お前はどうなんだよ。俺ばっか言ってんだけど、返事は?」

「え…い、言わなきゃ…ッスか?」

「当たり前だろぃ。俺もしかして今から失恋?」

「そんなことなっ…あ…」


はは、そっか。ちょっとだけ不安だったけど、その心配はいらないみてーだな。


「俺な、お前は仁王が好きなんだろーなって思ってた」

「は?なんでそーなるんスか!あたしはっ!」

「"あたしは"?」

「っあたし、は、…〜先輩が…っすき…です…」

「ははっ…さーんきゅ!俺も好きだよ、赤也。ってこれ何回目?」

「アンタが勝手に言ってんでしょ!だいたい…先輩だって、幸村部長が好きなんじゃないんスか?」


だんだんいつもの調子に戻ってきた赤也が一回俺から離れ、いつもよりは柔らかく睨んできた。なんだっていいや。もう苛つくなんてこと、ないんだから。


「いやいや、それこそおかしーだろぃ。幸村なんて好きじゃねぇ…ってもしかして、それで泣い─」

「ちがっ違う違う違う!!」

「へーえ、妬いてたんだ」

「…っ…悪いッスか?」

「っくく…悪いなんて言ってねぇじゃん」


あー、幸せだな。
俺たちって結局両思いだったんじゃん。ほんと幸せだよ、俺たち。


あんまりかわいいこと言うから、気持ちが抑えきれない。赤也の頭に手を置いて、出来るだけ優しく撫でる。


「ちょ、なんスかっ」

「かわいいよなーお前。ずっと言えなくてごめんな?」

「へっ…なっ…!何なんスかほんと…変わりすぎっしょ…」

「あ、いい忘れてた」

「……今度はなに…」

「一回しか言わないからよーーく聞けよ」

「?はぁ…」


ふわっと顔を近付け、驚いた赤也の耳元でそっと囁く。


「俺の彼女になって」

「っ〜…!!」


耳元から離れて表情を伺うと、また何度目かわからないほど顔を赤くさせて、困ったように俺を見る赤也がいた。


なんだかそれがかわいくて、少し笑いながら額にキスを落とすと、俺の大好きな笑顔を向けて「彼女にしてください」と照れながら言ってきた。


あーもう、ほんと、
大好きだよ赤也。


回りしたけど、
(これからはその分)
(たくさん一緒にいよーね)


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