「〜っつーか!信じたんならもういいだろぃ!」
「へ、何が?」
「お前はどうなんだよ。俺ばっか言ってんだけど、返事は?」
「え…い、言わなきゃ…ッスか?」
「当たり前だろぃ。俺もしかして今から失恋?」
「そんなことなっ…あ…」
はは、そっか。ちょっとだけ不安だったけど、その心配はいらないみてーだな。
「俺な、お前は仁王が好きなんだろーなって思ってた」
「は?なんでそーなるんスか!あたしはっ!」
「"あたしは"?」
「っあたし、は、…〜先輩が…っすき…です…」
「ははっ…さーんきゅ!俺も好きだよ、赤也。ってこれ何回目?」
「アンタが勝手に言ってんでしょ!だいたい…先輩だって、幸村部長が好きなんじゃないんスか?」
だんだんいつもの調子に戻ってきた赤也が一回俺から離れ、いつもよりは柔らかく睨んできた。なんだっていいや。もう苛つくなんてこと、ないんだから。
「いやいや、それこそおかしーだろぃ。幸村なんて好きじゃねぇ…ってもしかして、それで泣い─」
「ちがっ違う違う違う!!」
「へーえ、妬いてたんだ」
「…っ…悪いッスか?」
「っくく…悪いなんて言ってねぇじゃん」
あー、幸せだな。
俺たちって結局両思いだったんじゃん。ほんと幸せだよ、俺たち。
あんまりかわいいこと言うから、気持ちが抑えきれない。赤也の頭に手を置いて、出来るだけ優しく撫でる。
「ちょ、なんスかっ」
「かわいいよなーお前。ずっと言えなくてごめんな?」
「へっ…なっ…!何なんスかほんと…変わりすぎっしょ…」
「あ、いい忘れてた」
「……今度はなに…」
「一回しか言わないからよーーく聞けよ」
「?はぁ…」
ふわっと顔を近付け、驚いた赤也の耳元でそっと囁く。
「俺の彼女になって」
「っ〜…!!」
耳元から離れて表情を伺うと、また何度目かわからないほど顔を赤くさせて、困ったように俺を見る赤也がいた。
なんだかそれがかわいくて、少し笑いながら額にキスを落とすと、俺の大好きな笑顔を向けて「彼女にしてください」と照れながら言ってきた。
あーもう、ほんと、
大好きだよ赤也。
遠回りしたけど、
(これからはその分)
(たくさん一緒にいよーね)