※リアタイより手直し
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俺はいつも素直じゃなくて、気が付けば暴言ばっか吐いている。だから、今日はすこし意識して、素直に気持ちを言葉に出してみよう…と思う。いつも俺に対して直球な赤也に、俺もまっすぐぶつかろうと思う。
「せーんぱいっ!」
「わっ!…あかや」
そう決意した矢先、突然背中に感じる重み。どうしてこうこいつは後ろから飛び付いてくるんだ。
「もーだめ、俺。丸井先輩欠乏症で死んじゃうー」
「はぁ?ばっかじゃねーの。死ぬわけねーだろぃ」
「ひっどー!」
あ、しまった。
またやってしまった。
俺がなに言ってもへらへら笑ってるけど、内心ではきっとダメージ受けてんだろうなーとか思っちゃうと、やっぱり罪悪感でいっぱいになる。
「んもー先輩は素直じゃないッスねー」
「う…」
「ん?」
あーだめだこんなんじゃ。今日は、…せめて今日、だけでも…。
「お…俺も、会いたかった」
後ろから抱きつかれてるから、顔を横に向けないと赤也の表情は見えない。いや、どうしたって恥ずかしさが勝って赤也の顔なんか見れるわけがない。
代わりに、首に回されてる両腕をぎゅっと握って赤也の反応を待った。
「っ…先輩…それほんと?」
「…嘘なんかつくかよ」
「ですよね…うわ、どーしよ…」
「…?」
「すっげー嬉しい…」
いろいろ振り絞ってちらっと真横にある顔を覗けば、心底嬉しそうな赤也がいた。
…こんな顔見たの初めてかもしれない。どんだけ嬉しかったんだよ、お前。
「ね、他には?」
「…他って」
「もう終わりッスか?」
なんて、寂しそうに言うこいつはズルいと思う。俺がどんなことされたら弱いか知ってるんだ。…まだ言わせる気か、バカ。
でも、またあの笑顔が見たい。俺が素直になることで、お前が少しでも喜んでくれるなら。
「…会いたくて、」
毎日は無理だけど、今だけでいいなら。
「会いたいって思ってたら、お前が来て、」
ちゃんと言うよ。
「ほんとは、…嬉しくて仕方なかった」
「っ…!」
「〜だって俺、赤也のことかなり好きだか、っうわ!ちょ、っ!」
ストーーップ!
(先輩かわいすぎて俺死んじゃう!)
(…んな簡単に死なせねーよ)