3 | ナノ


「〜っ!!」

「……」


うっすら目を開けると、それはもう固く目を閉じていた。このまま怖がらせるのも可哀想だから、ゆっくり舌をいれ、そっと先輩のものと合わせる。


「ん、ん……っ!」


その時、バッ!と勢いよく体を押され二人の距離が遠くなる。少しびっくりして先輩を見ると、先輩の方がびっくりしていた。


え、なに、なんかまずかった?


「丸井…先輩…?やっぱ嫌…でした?」

「あかや…」

「なんスか…?」

「〜っ、なんでもない」


顔を真っ赤にして、口元に手を当てて俺を見ない。なんでもないとか言ってるけど、どうみたって様子がおかしい。


「ね、なに?言って?」

「え、や……っなんか…これ…」

「うん?」

「〜っ変な感じ、する…」


………え?
変な感じ…ってそんだけ?


「あの…変…というのは…」

「ちがっ違くて!俺にもよく分かんないけどっ…なんか…っぞくぞく、する…」

「……」

「て、てかなんかっ…えろ…くね…?」


「ごめんっ」とか「あかや?」とか、いろいろ言われたけど反応出来ない。だって、それってつまり、


「気持ちよかったんだ?」

「!」


言葉にならない声を発してあたふたしていたが、そのうち、こくりと頷いて俯いた。


いや、なにこの状況…俺まで恥ずかしくなってきたんですけど…。二人して赤面して、初々しいったらない。でもそれなら安心した。これで俺も少しは先に進めるっぽいし!


「へへっ」

「…なに笑ってんだよ」

「んーん。じゃーもっかい、ちゃんとしよ?」

「は!?や、む─」

「聞こえない」

「んんっ…!」


嫌じゃないんだから少しくらい強引でもいいよな、なんて勝手に解釈して口を塞ぐ。さっきと同じように舌を合わせると、あからさまにビクッとして先輩が離れそうになった。逃げられないように後頭部を押さえ、もっと深く絡める。


「…ん……は…」

「っ…ん……っふ、ん…〜〜っ!」

「…っは……先輩…」

「〜ん、は…っあ、かやぁ…っふぇ…」

「!なっなんで泣いてんスか!?」

「わっわかんねーよ…っもーやだ…お前のせーで変な気分になっただろ…っばーか!!」

「え、ちょ、痛っいたたっ丸井先輩っ痛いって!!」


手も足も暴言も飛び交い、バシバシ当たってほんとに痛い。でもこれは先輩の照れ隠し…照れ隠し…だよ、ね。いやでも流石にこれは…


「痛いっつの!!」

「!」


飛んできた手を掴んでグイッと引き寄せ、ちゅっと額に口づける。


「そんな照れないでよ」

「っ…〜もー絶対しねぇ…」


輩の為の指導。
(…だったんだけどなぁ。やっぱ気に入らない?)
(そ、そーゆーわけじゃ…)
(ふーん)
(っバカ!変態!死ね!)
(え?もう一回したい?)
(ごめんなさい)


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書いてて恥ずかしくなったのは内緒。終わりが見えなくなったのも秘密の話。


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