「〜っ!!」
「……」
うっすら目を開けると、それはもう固く目を閉じていた。このまま怖がらせるのも可哀想だから、ゆっくり舌をいれ、そっと先輩のものと合わせる。
「ん、ん……っ!」
その時、バッ!と勢いよく体を押され二人の距離が遠くなる。少しびっくりして先輩を見ると、先輩の方がびっくりしていた。
え、なに、なんかまずかった?
「丸井…先輩…?やっぱ嫌…でした?」
「あかや…」
「なんスか…?」
「〜っ、なんでもない」
顔を真っ赤にして、口元に手を当てて俺を見ない。なんでもないとか言ってるけど、どうみたって様子がおかしい。
「ね、なに?言って?」
「え、や……っなんか…これ…」
「うん?」
「〜っ変な感じ、する…」
………え?
変な感じ…ってそんだけ?
「あの…変…というのは…」
「ちがっ違くて!俺にもよく分かんないけどっ…なんか…っぞくぞく、する…」
「……」
「て、てかなんかっ…えろ…くね…?」
「ごめんっ」とか「あかや?」とか、いろいろ言われたけど反応出来ない。だって、それってつまり、
「気持ちよかったんだ?」
「!」
言葉にならない声を発してあたふたしていたが、そのうち、こくりと頷いて俯いた。
いや、なにこの状況…俺まで恥ずかしくなってきたんですけど…。二人して赤面して、初々しいったらない。でもそれなら安心した。これで俺も少しは先に進めるっぽいし!
「へへっ」
「…なに笑ってんだよ」
「んーん。じゃーもっかい、ちゃんとしよ?」
「は!?や、む─」
「聞こえない」
「んんっ…!」
嫌じゃないんだから少しくらい強引でもいいよな、なんて勝手に解釈して口を塞ぐ。さっきと同じように舌を合わせると、あからさまにビクッとして先輩が離れそうになった。逃げられないように後頭部を押さえ、もっと深く絡める。
「…ん……は…」
「っ…ん……っふ、ん…〜〜っ!」
「…っは……先輩…」
「〜ん、は…っあ、かやぁ…っふぇ…」
「!なっなんで泣いてんスか!?」
「わっわかんねーよ…っもーやだ…お前のせーで変な気分になっただろ…っばーか!!」
「え、ちょ、痛っいたたっ丸井先輩っ痛いって!!」
手も足も暴言も飛び交い、バシバシ当たってほんとに痛い。でもこれは先輩の照れ隠し…照れ隠し…だよ、ね。いやでも流石にこれは…
「痛いっつの!!」
「!」
飛んできた手を掴んでグイッと引き寄せ、ちゅっと額に口づける。
「そんな照れないでよ」
「っ…〜もー絶対しねぇ…」
先輩の為の指導。
(…だったんだけどなぁ。やっぱ気に入らない?)
(そ、そーゆーわけじゃ…)
(ふーん)
(っバカ!変態!死ね!)
(え?もう一回したい?)
(ごめんなさい)
---
書いてて恥ずかしくなったのは内緒。終わりが見えなくなったのも秘密の話。