3 | ナノ


「…おい」

「っはい…」

「なに顔隠してんだよ」

「いや、ちょっと見ないで先輩…今真っ赤だから…」


特に逃げ場もなく、仕方ないから手で顔を覆って下を向いていた。


だって、なに?
さっきなにが起こった?
先輩がキスしてくれて、俺のことは大好きとか言ってくれて、こんな幸せなことってある?


「お前さぁズルくねぇ?俺にはいつも顔見せろって言ってくるくせに…」

「す、すいません、こんな恥ずかしいと思ってなかったんで」

「…あかやぁ」

「………なんスか?」

「顔、上げて?」

「っ…先輩の方がズルいっしょ」


覚悟を決めて、顔を上げる。目に入ってきた先輩の顔は、やっぱりかわいくて、「ばーか、ズルくねーよ」って言った時のちょっと拗ねた顔も、俺がドキドキするには十分だった。


「赤也さ、昼休みの気にしてんだろぃ」

「え……そ、そんなこと…ないッスよ?」

「へー。じゃあいっか」

「あーー!すいません気にしてました気にしてました!!」

「ふっ…必死すぎ」

「おわっ、先輩!?」


少し笑って、先輩が思いっきり抱きついてきたから、バランスを崩した俺達はその場に倒れ込んだ。背中に少し痛みを感じながら目をあけると、嬉しそうに笑いながら先輩が耳元で囁いた。


「──…」

「っ…なに、それ…」

「だから、赤也は大好き」

「…先輩、今日家帰らせないからね?」


("愛してる"は、軽い感じがするから赤也には使わねーの!)
(だったら俺も、先輩のことは世界一大好き!)


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -