俺の恋人は格好いい。どこが?って聞かれたら、すぐには思い付かないけど。
でも、俺の恋人は格好いい。
例えば、赤い髪。
人一倍人目を引く、赤い髪。こんな色が似合うのは先輩くらいしかいない。俺の天パと違って、先輩の髪はサラサラしてる。
例えば、男前な性格。
物事をバッサリ切ってしまう、男前な性格。本当にさっぱりしてる。だから俺がしつこく好きだの可愛いだの言っても、うるせぇかバカでざっくり切られてしまう。
例えば、強気な態度。
勝ち気でプライドの高い、強気な態度。先輩に命令されたら、逆らえない。別に怖いわけじゃない。ただ、先輩だから従おうって気になるだけ。きっとみんな、先輩の言うことなら何でも聞いちゃうんだ。
ね、分かるっしょ?
ほんと格好いいんだ。
でも俺は、その裏にある先輩の可愛さを知ってる。あ、だからって格好いいキャラを作ってるとかじゃなくてさ、どれも本物。全部が丸井先輩。
俺が好きって言えば、あっそとかバカってすぐ言うけど、照れ隠しだってこと、ちゃーんと知ってる!
暴言吐かれたって、それが先輩の愛情表現だってことも、ちゃんと知ってる。先輩の暴言には、ちゃんと愛がある。
そんな先輩が可愛くて、愛しくて、ついつい意地悪したくなるのは俺の悪い癖。わざとらしく拗ねたフリをすれば、慌てて先輩が嘘だよって言うの。そのあとには必ず、俺も好きだからって言うの。
ね、かわいくない?
そんなこと言われたらもう抱きついちゃうしかないよね!
俺の恋人は格好いい。
でもその100倍、いや1000倍、もう世界一!誰よりも可愛い!
あーこんな話してたら先輩に会いたくなってきた。あー会いたい会いたい丸井せんぱーい。
──ピンポーン
あ、誰か来た。そう言えばいま誰もいないんだった。なんだよ、俺が出なきゃじゃんめんどくせーなぁ。
──ピンポーン
「はいはい、いま出ますよ」
ガチャ
「…よ」
「え…ま、丸井先輩!?どっどうしたんスか?遊ぶ約束とかしてましたっけ?」
「してねぇと、来ちゃダメなのかよ」
「っ〜と、とりあえず入って」
先輩に会いたいって思ってたらマジで先輩に会えるなんて、…これって運命的じゃない?あ、ちょっと、大袈裟とか思ったっしょ。
「えと…すっげ嬉しいんスけど、先輩なんかあったんスか?」
「だーかーらぁ、用がねぇと来ちゃダメなわけ?」
「い、いやそんなことはないッスけど!!珍しいと思って」
「仕方ねぇじゃん、」
──会いたくなったんだから
ほらね、こうやって先輩は俺の心を掴んで離さないんだ。もう一生、俺の心は先輩のモノなんだ。先輩って生粋のジャイアニズムだしさ。まぁそんな先輩が大好きなんだけど。
先輩が俺の心を奪っていくなら、俺はその器にたくさんの"好き"をいれて捧げましょーかね!
とにかく最高!
(っ〜〜先輩大好き!!もー、ちょー可愛い!!)
(っだ、黙ればかっ!)