いつからだっただろう。
俺が謙也を意識しだしたのは。
思えば、昔の謙也の髪は真っ黒だった。何を思ったか突然、小6の終わり頃に金髪にしてしまったのだ。それまでの俺は、真っ黒な髪の謙也が大好きだった。とりあえず大人になるまでは、ずっとこのままでいて欲しいとさえ思っていた。
「なぁ」
「んー?」
「髪、なんで染めたん?」
「は?なんやねん急に」
こいつが金髪になった日も、俺は普通に家にいた。いつものように部屋のドアが無遠慮に開いて、名前を呼ばれて、それから謙也を見た。その時の衝撃は今でもはっきり覚えている。
「あー…何でかなー思て。黒髪似合っとったのに」
「え、これ似合わん?」
「いや、めっちゃ似合うとる。光に透けると綺麗やし、俺は好きやで謙也の髪」
「…髪かい」
あの時は確か、走ってきたのか息を切らしていて、満面の笑みで自分の髪を自慢してきた。正直、心臓が止まるかと思った。それは綺麗な金色で、光が当たる度にキラキラと反射して。いつも眩しいくらい笑っている謙也には、この上なく似合っていた。
それと同時に、俺は謙也から目が離せなくなった。
(あぁ、それからか)
「ふ」
「なに笑ってん?」
「いや、俺って昔から謙也んこと好きなんやなぁ思て」
「っ…」
「?…あ、ときめいた?」
「あほっ…さっき俺の髪が好きやって言うたやん」
そう言ってあからさまに拗ねるのは、紛れもなく男で。更に言えば俺の従兄弟で。でも可愛いと思ってしまう、俺の大事な恋人。
「なん、髪に妬いとんの?」
「…妬いてへんし」
「へーえ(笑)」
「(笑)ちゃうわ!!」
「安心しぃ、謙也んこともちゃんと好きやから」
目の前の柔らかい髪を撫で、ほんのり赤に染まった頬に手を当てると、ふわっと笑った。それは本当に、この髪によく似合う。
謙也を色に例えるなら、オレンジだとか、赤だとか、大抵の人はそんな色をあげるんだろう。
でも俺は、
「金色」
「へ?」
「謙也を色に表したら、金かなぁて。」
「ははっなんやそれ、金髪やからやろー?」
「それもあるけど、謙也には金がよぉ似合うから。めっちゃ元気で明るくて、俺を照らしてくれるやろ?」
にっ、と笑えば、意表をつかれたかのように驚いた顔をして、すぐに真っ赤になった。やっぱ好きやなぁ、昔も今も。
オレンジでも赤でもない、俺だけのたった一つの輝き。
君ノ色
(…侑士、はずい)
(え)
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リク:侑謙甘々
とのことでしたが、いかがでしょうか..!好きなんですけど真面目に書いたの初めてで、軽く侑士の独白っぽくなりましたすいませんんん!しかも完成が遅れまして..!
晴美様のみ24時間体制で苦情受け付けております!では、この度は企画参加ありがとうございました(*^O^*)