9999hit/わかな様へ | ナノ


丸井ブン太15歳、只今朝の通学路。今日も大好きなテニスをするため、それと赤也に会うため(本人には内緒な!)元気に朝練に向か…えてるわけではなかったりする。


「あ゙ー頭ガンガンする…」


実は起きたときからずーっとこの調子。ちなみに頭だけじゃなくて身体中痛いし、すっげぇ怠い。しかも寒い。多分俺、熱あると思う。なんで多分かってーと、熱測ってないから。仮に測ったとして、38とか37って数字見たらもう動ける気しなくね?


ってことで今に至るんだけど、…力抜けてきた。あー大丈夫かな俺。せめて学校には行きたいんだけど……あ、なんか、ヤバいかも。


(あれ、地面が歪んで─)


「丸井せーんぱいっ!」

「へ…あか、や…?」

「おはようございま…って、先輩もしかして具合悪いんじゃ…」

「あー…やっぱ、無理だ…」


赤也に会って、妙に安心して、そこで俺の記憶は途絶えた。意識の遠いところで、すげー焦った赤也の声だけが響いていた。


────
──


パチッと目が覚めた。一番に視界に入ったのは、なんとも見慣れた天井。すぐに分かった、ここ…赤也の部屋だ。でもなんでここにいるのかが全く分からない。辺りを見回すと、この部屋の主がいない。なんとなく不安になって少し起き上がると、グワンと部屋が回って、自分の状態を理解した。


(俺もしかして…倒れ、た?)


「つーか、赤也…どこ行ったんだよ……あかやぁ…」


会いたい。
赤也、どこ?
側にいろよ、赤也。


一端そう思ったらもう止まらなくなった。ベッドから降りて、部屋を出て、はっきり言ってフラフラで歩くのなんて辛すぎる。けど、早く赤也に会いたくて、声が聞きたくて。階段を降りて台所の方に行くと、会いたくて仕方なかった人を見つけた。


「っ……あか、や…」

「え…せ、先輩!?ダメじゃないッスかちゃんと寝てなきゃ!!全然力入ってないし!!」

「へへっ…だいじょぶ、だって…割りと歩けた、し…」

「だーーめ!!階段落ちたらどうするつもりだったんスか!?」

「それは……赤也が助けてくれるかな…って…」

「そんなん当たり前っスけど!!でもっ…あーもう……ほんと心配した」


さっきまですごい勢いで怒ってたのに、もう諦めたのか抱き締められた。優しく、壊れ物を扱うように。そして何度も何度も、「無茶しないで」とか「風邪なら学校休んで」とかそんなことばかりを繰り返される。


俺、赤也のこういうとこ好きなんだ。いっつもふざけて、バカやって、何にも考えてないみたいなのに、いざって時すっごい頼りになる。赤也は俺の方が頼りになるって言うけど、俺なんか全然。


赤也にぎゅーってされると、
すごく安心するんだ。


「ごめん、赤也…あり、がと」

「ん、いいよ。それに弱ってる先輩見れてラッキー!顔赤いし、俺のこと探しに来るし、超かわいいかわいすぎる!!」

「っ、…ばーか」


こうやって気遣ってくれるとこも、全部全部、好き。もう赤也がいないと、ダメなんだ。


今日は朝から具合悪いし倒れるしマジ最悪って思ってたけど、赤也のおかげでちょっと幸せになった、かも。ありがとう、やっぱ俺赤也大好き!


った俺が思うこと。
(つーか、変態かお前…)
(先輩が悪い。むしろこんな先輩目の前にして、手出してない俺をもっと褒めてほしいッス)
(……移るから、だめ)
(え、なにそれ。移んなかったらいいってこと?え、マジで言ってる!?丸井先輩!!!?)
(あーうっせ…好きにしろぃ)




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