※バトテニ/死ネタ
終盤から突然始まります
※いつになく切甘
※↑2点よろしければどうぞ
---
「先輩!!」
「あ…かや…?」
「そうッス、…赤也ッス」
「赤也…赤也…!」
赤也だ、赤也だ、生きてた!
もう二度と会えないかと思った!
血生臭いこの戦場と化した地に相応しくない、明るい雰囲気が一瞬二人の周りを取り巻いた。
「先輩…大丈夫?」
「……っ…大丈夫な…わけ…」
「…そうッスよね、ごめん」
「も…俺こんなの嫌…!なんで俺達がこんなこと…っ」
辺りを見回せば最早誰が殺ったのかも分からない、人の山。一瞬でも気を抜けば、こっちが殺られることになる。
そう、一瞬でも
"気を抜けば"──
カチャ
「…え?」
「先輩、終わらせよう?こんなゲーム」
「なに、言って…」
赤也によって俺の首に当てられた冷たい無機質。それが刃物だと分かるのにそう時間は掛からなかった。
「先輩も分かってるんでしょ?二人で生き残るのは無理ってことくらい」
「っ…」
「ね、もう嫌っしょ?生きてても辛いだけ。俺達は最後の二人。これで先輩が死ねば全てが終わる」
首に当てられたそれに力が入ったのが分かった。そして感じる、わずかに流れる生暖かいもの。
「…んで…」
「何?」
「…なんで、…どうしてだよ…」
「どうして?だから全てを終わらせる為に──」
「違う!!」
わけが分からないといった表情で俺を見つめる赤也。どうしてだよ、どうして…なんでお前は…!
「先輩?」
「そこまでして、お前が生き残りたい理由ってなんだよ…もう、…もう、誰もいないのに!!幸村くんだって、真田だって、柳も仁王も柳生もジャッカルも!…お前が殺すってんなら、…俺だって…っ!」
「だから?」
え──…
こいつ今、なんて言った?
「…だか、ら…って…」
声が震える。足が震える。
赤也の言う言葉の意味が分からない。目の前にいるこいつは、誰─
「いなくなった先輩達気にしてたら、帰って来るんスか?」
「それ、は…」
「ね、先輩は俺のこと好き?」
「っ……好、き…に決まって…」
「じゃあさ、」
──俺の為に、死んでくれる?
見たこともないような、冷たい顔。怖い。怖い。こんなの…俺が知ってる赤也じゃない…!
こんなの、嫌だ…っ
バンッ─!
首に当てられた刃物が更に食い込もうとした刹那、俺は体を退いた勢いのまま銃の引き金を引いた。
「っはぁ…っ…はぁ…」
「ぅ…っ…丸井、せんぱ…っ」
「赤也…あか、や…!」
視界がどんどん歪んでいく。涙が溢れて止まらない。赤也、赤也、赤也…!
銃なんかその辺に投げ捨てて、その場に倒れ込んだ赤也に駆け寄り抱き留める。
「どう、しよ…っ俺…あかや…を…っぁ…かやっ…!」
「…っは…せん、ぱい…」
「赤也っ…なに…っ?」
「へへ…良かった…ッス……これで、…っ丸井先輩が…生き延び、られる…」
掠れた小さい声で、途切れ途切れに話し出す。ちゃんと赤也の顔を見たいのに、涙のせいで顔が見えない。
なぁ赤也、これで生き延びられるって、なんだよ?お前初めからそのつもりだったの?