記念打 | ナノ

なんでやねん



ゲームが好き。辛い物が好き。独りが好き。
暑いのは嫌い。甘い物は嫌い。大勢は嫌い。パリストンは大嫌い。

よくある、子供の思考だ。

「心配する必要、無いんじゃないですか」

絶妙な温度に保ったアールグレイを注ぎ、副会長に差し出す。彼はそれをすぐには飲まず、その代わり一度だけ溜息を吐いた。今日、彼の腹違いの弟は副会長補佐の地に就いた。つまり、秘書だ。協専ハンターになってわずか2年で秘書になったその異例の速さに、協会内もその噂で持ちきりであった。

「心配、ていうかね。別に心配してないんだよ」
「・・・?では、何故・・・」
「僕はさ」
「はい」
「テルドが可愛くて仕方が無いんだよ」
「・・・はい?」

思わずティーポットを落としそうになりつつも、すぐに持ち堪える。上質な物なのだ。割ったりなどしたら自分がどうなるか分からない。僕は静かにティーポットをコモテーブルに置いた。ふわりと上品な匂いが漂った。

「そ・・・それは、それは素晴らしい兄弟愛で・・・」
「面白いんだよね、反応が一々」
「あ、はい・・・そうでらっしゃいますか・・・」

何なんだこいつ・・・。極力、目を合わさない様に苦笑いした。
副会長はいつも彼の補佐に無駄なちょっかいを出す。それはもう、痛々しい程に。十二支ん達までもが口を揃えて副会長の補佐に対する反応を気持ち悪いと言う程なのだ。いい加減止めて欲しいと思う半分、毎回面白い反応してやる補佐の対応には仕方ないと感じた。

「あの・・・ですが副会長」
「何かな」
「補佐の前で言うべきでは無かったと思いますよ」

じろりと睨んでくるのは仕事真っ最中の補佐。同室に居るが為、会話は筒抜けであった。特に、兄弟愛が素晴らしいなどと言った瞬間には、もう彼のオーラの恐ろしさはピークになっていただろう。時折、ガッとペン先が折れる程なのだ。確かに自分の発言も悪かったが、それを煽る副会長も悪い。今すぐ、この息苦しい部屋から逃げ出したかった。

「何で?陰口はいけないよ」
「陰口ってか陰口じゃないですよね!モロ言ってますよね!」
「ねーテルド、これって別に陰口じゃ」

我慢ならず行動を起こした補佐によって副会長の台詞は途中で遮られる。大束の書類を彼の前に叩きつけ、書きかけを腕に補佐は部屋を出て行った。あぁ、ようやく面倒事が去った。だが、このまま行けばいい物を、副会長が照れ屋さんだねなんて言うもんだから。あぁ、言わんこっちゃないと、副会長の顔にバシンと書きかけの書類が投げつけられ、更に死ね!という言葉まで送られた。あぁ、もう収集つかない。頭を抱えた。
書類が顔から落ちても、額が赤くなっても彼は笑みを張り付けたままだった。そして、不気味に笑うのだ。

「あー、やっぱり可愛いなぁ」

なんでやねん。
気持ち悪すぎて、最早何も言えなかった。








・あとがき
同じく2万打で頂いたリクエストです。テルドとパリストンが会話している様子や、二人の関係を他の協会の人から見たお話というリクエストなので、どうせならばと本編の46話にも登場している部下の子視点にしてみました。ウザストンと言えば、もうこの鬱陶しい程の愛ですよね!(え?)
時間設定としては、秘書になったばかりという事で、とにかく反抗期真っ最中です。死ね、も愛の内です。絶対、廊下に出た頃には顔が真っ赤になっているのでご安心を。
では、リクエストして頂いたアーモンド様、どうもありがとうございました^^
あまりパリストンと夢主が絡めなくて申し訳ありません;ω;


10/7/2012




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