記念打 | ナノ

茜色のジェラシー



最近のシャルナークは何だか可笑しい。ていうか気持ち悪い。
人を殺めるのに何の躊躇いも無い彼が、今じゃ俺の知らない人間なんかの惚気話なんかをしている。しかも、デレデレに顔を緩ませて。これを、あの賢かったシャルナークだとは思いたくなかった。
俺以外だけではなく他の団員達(マチ以外。彼等は仲が悪いから)にも惚気ている様で、益々腹が立つ。俺だけだったのなら、まだ我慢出来たのに。

「お前はいつからそうなった」
「ん?何が?」
「お前は、」

いつから、そんなに弱い存在になってしまったんだ。
ずっと俺の後ろを着いて来て、俺にだけは忠実で、俺の為なら何でも汚い仕事をやってのけた、あの彼が。あの、彼が。
憎たらしい。テルドという、その存在が。シャルナークの何も知らないくせに、途中から入ってきたくせに。見た事も話した事も無いその存在がとても腹立たしかった。

「大体、テルドというのは協会側の人間なのだろう?なら余計に怪しいんじゃないか」
「大丈夫だよ、テルドはあまりそこに関心無いから。関心と言えば、テルドはゲームにしか目が無いんだよね。でも凄く下手だからすぐゲームオーバーになったりしてるんだけど、その度にコントローラー投げ捨てるのがまた可愛いんだよね」
「そんな事ですぐ癇癪を起こすだなんて、ただのガキじゃないか」
「まだ16か17くらいなんだよ、テルドは。やんちゃするくらいが良いよ」
「それは子供とは言えない歳だな。もう独り立ち出来る歳だ。その歳で甘えてるんなら、それはもう馬鹿としか言いようが無い」
「そんな事言わないでよ。可愛いもんは可愛いんだから。確かに、馬鹿だけどさ」

あ、駄目だ、言葉が止まらない。
いつの間にか俺は読みかけの本を閉じていた。黙れと威圧してやろうかとも考えたが、それはシャルナークが俺から離れてしまう様な気がして、止めた。そして、こういう時だけ俺の悪知恵は狡猾にも働く。

テルドを、消してしまおう。

まずは信用を得、取り入り、そして始末する。そうだ、そうしよう。

「シャルナーク、もっと話を聞かせてくれないか?その、テルドっていう人物の」
「良いよ。ずっと話しても飽きないくらいだよ」
「前に話していたな。感情が昂ると、瞳の色が変わる・・・とか」
「そうそう!そうなんだよ、すっごい綺麗な茜色。最初、抉ろうかと思った」
「ふぅん」
「クルタのハーフだったんだよね、彼」

感情が昂ると、普段は茶に近い瞳の色が緋色に変わる種族、クルタ族。ルクソ地方にこっそり隠れていたのを、5年前に襲った。眼球を抉り出し、そのまま闇市や物好きな金持ちに売り捌いた。あれの生き残りが、クルタ以外との子供を産んだのか。ハーフだから、瞳の色は若干薄くなっているのだろう。茜色とは言ったが、どうせ黒に近い赤だ。売る価値も無い。だが、盗る価値はある。
一生、その目を地下深くの祠にでも閉じ込めておこう。もう二度と、シャルナークを見れなくなる様に。

「彼の、居場所は?」








・あとがき
2万打企画で頂いたリクエストです。シャルナークが夢主君の事ばっかりで、クロロに少しヤキモチを妬かせるという話だったのですが・・・あれ、何でこんな怖くなってんの。クロロ怖すぎてワロエナイですね。まぁ、どうせシャルナークが夢主君の事守ってくれるので無問題です。大丈夫だ問題ないです。
ではでは、リクエストしていただいたもも様、ありがとうございました!
ご期待に添えられる様な作品じゃなくて申し訳ありません・・・´Д`;


9/26/2012




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