『君は良く頑張ったよ、その一言が欲しくて』
※管理人がまだ最後までプレイしてない時の小説です。
口調、矛盾などあると思いますがご了承下さい。
割とお菓子作りは好きだ。
料理も得意だし、洗濯だって得意だ。
それから裁縫だって出来る。
だけど、こんな平凡なスキルではなく、今目の前の物と戦うスキルが欲しかった。
「うーん。」
目の前にいるのは完全に魔物。
油断していた。
ここら辺は魔物が出ないと聞いていたのに。
事の発端はもう少し前になるのだが、ここら辺には豊かな水源があるそうで、その近くにはとてもいい香りのするハーブがあるそうな。
そのハーブを使って焼くハーブパイが絶品との事で町の人に聞き、早速来たのは良いがなんと魔物がでてしまったのだった。
ハーブは今手の中。
後は町に戻り作ればいいのだ。
しかしながらそうはうまくいかないもので、どうしたものかと思っていると魔物のいきなりの攻撃。
かろうじて避けるがそれがいつまで持つか…。
仕方なく背を向け逃げるか、それとも後ろにジリジリと逃げるか。
はたまた戦いを挑んでみるか。
…最後の選択はないなぁ。
距離を詰められ嘆いていると声が聞こえる。
聞いたことのある声。
ただ今見つかると絶対怒られるのが容易く想像出来た。
ここは一か八か…走って逃げる!
息を切らして町目指し走っていると後ろから魔物の声が聞こえなくなる。
ただ後ろにまだいたら困るので、町までは後ろを振り返らずに走り続けた。
「…出来た!」
あの後特に誰に会うわけでもなく、宿屋のキッチンを借りた。
ハーブの清涼系の香りがパイからして思わず食べそうになる。
いやいや、いけない。
今回はあんなに危険な思いをしてまで作ったのには訳があるのだから。
「この香り…」
「あ、ミクリオさん。」
そう、全ては彼に食べてもらう為に作っていたのだ。
「美味しそうだね。」
「食べてみてください。町の人が教えて下さって作ってみたんです。」
「じゃあ、いただきます。」
一口食べると嬉しそうに破顔する。
私も嬉しく、笑顔になる。
「美味しいよ。これ。でも、こんなに香りを出そうと思ったら難しいだろう?」
「ううん、それはハーブの香りが強いから出来るの。」
「へぇ、そうなんだ。」
一口また一口と食べてくれる彼にホッと胸を撫で下ろした。
あの時彼に見つかっていたら本当に怒られていただろうから。
何も言わない所を見ると私はうまく逃げられたのだろう。
良かった。
「流石、外までハーブを取りに行っただけあるね。」
「そうなの、…って、え?」
「僕が気付かないとでも思ったかい?」
「いや、あの…」
「はあ…。君は戦闘出来ないんだから無闇に外に出たら危ないって日頃から言ってるだろ。だから憑魔に襲われるんだ。」
「うぅ、見られてた…。」
軽いお説教で済んだから良いものの見られていたことに少し罪悪感。
心配させて迷惑をかけてしまった。
「あれ?もしかして途中で憑魔の声が聞こえなくなったのって。」
「僕が倒したからね。でも、向日葵に危機感があってよかったよ。あのまま後ろを振り返ってたらお説教だったな。」
「ごめんなさい。私、」
「これから気をつけてくれればいいさ。それに怖い思いもしただろうし。」
頭を撫でられ恐る恐るミクリオさんを見ると柔らかい顔で言ってくれた。
『君は良く頑張ったよ』
ただ、これから外に行くときは必ず僕を呼んで。
そう付け足して去っていった。
そんな事言われたら…顔が赤くなるじゃないですか。
お題『君はよく頑張ったよ、その一言が欲しくて』or『初めまして、久しぶり 』
ヒロインはただ、彼に頑張った事を認めてもらいたかっただけです。
魔物がいないと言われたこともあるけれども、彼にハーブパイを食べて欲しかったんですよね。
ミクリオもヒロインを探して外まで来るところを見ると脈ありですね。
早くくっつけ、と言いたいがこれを書いてるのは自分だった…
お題診断メーカーのお題を頂いてます。
どっちでもいいとの事でしたがどちらも書かせていただきました。
いかがでしたでしょうか?
管理人・エア