君が好きだから。
※管理人がまだ最後までプレイしてない時の小説です。
口調、矛盾などあると思いますがご了承下さい。
その日は何故かとても苛立っていた。
「危ないんだ、この旅は!元の世界に戻る方法なら平和になってからでもいい!」
「でも、私は…!」
「ここに残るんだ!!!」
向日葵に有無を言わさない言動で言ったのなんて今回が初めてだ。
でも、危ない事を分かってほしい。
ここで、安全に待っていてほしい。
どれだけ、そう思ったことか。
「おい…ミクリオ…」
「わかりました。私が足手まといになると言うのならここに…残ります。」
「向日葵も…。」
「いいんです、スレイさん。私がいけないんです。皆さんの足を引っ張っているのですから。」
「そんなこと…」
「ないとは言い切れませんよね…、私、皆さんに助けて貰ってばかりで、なにもお返しできてないんですから。」
「……。」
そこまで悲観して欲しいわけじゃない。
自分の力量を知って待ってて欲しいだけ。
元の世界に戻る方法なら平和になってから僕も手伝う。
でも、言葉に出来なくて…
彼女を置いていくことにした。
その夜、彼女が居なくなったとデゼルから聞いた。
スレイが皆を起こしている間僕は先に宿を出て夜の街を探し回る。
なぜ夜中に出て行ったとか、そんなことばかり頭に浮かんでいた。
彼女の行きそうなところは調べ尽くしたのに彼女は見つからない。
スレイ達と合流するも成果なし。
嫌な予感が出てきては消える。
「まさか、街の外に行ったりしてないだろうな。」
「デゼル、向日葵の居場所分からないのか。」
「やってるが、どうにもおかしい。」
「おかしい…とは?」
「あいつの気配を感じない。この短時間で遠くへ行くなんて不可能だ。」
「もしかして、元の世界に戻ったとか?」
「かもしれんが、気配が一つじゃなかったところを見ると憑魔にやられたのかもしれん」
冷や汗が止まらなかった。
何故そんな事をいうのかと今にもデゼルに突っ掛かりそうになるがそれは違うと堪える。
「その気配の消えたところまで行きましょう。もしかしたらまだ向日葵さんがいるかもしれません。」
「そうだな。デゼル、どこらへんかわかるか?」
「本当に門の近くだな。」
「ミクリオも…って、もういないや。」
無我夢中で走った。
そこしか思い当たる節が無いのだから。
無事でいてくれることを祈るばかりだ。
「でも…」
「そんなに怖がらなくてもいいよ?」
「本当に元の世界に…?」
「大丈夫。任せてくれれば、ね」
そんな声が聞こえて来た。
1人は向日葵の声だとすぐわかる。
だけど、もうひとりは…?
隠れて様子を見ると明らかに憑魔と一緒にいる向日葵。
そうか、向日葵には憑魔が分からなかった!
普通の人間に見えているのか。
僕はゆっくり近付き声を掛けた。
「向日葵。」
びくっと身体を震わせた向日葵。
…少しショックを受けたんだが…。
「み、ミクリオ…」
「あんなやつ、ほっとこうぜ。それより、もっとこっちへ…」
向日葵の腕を掴み引き寄せる憑魔に水の天響術を浴びせる。
向日葵の顔が驚きに変わっていき、ハッとした顔に変わった。
慌てて憑魔から離れようとするも腕を掴まれ逃げきれず、僕は相手の腹に長杖で突く。
手が離れよろっとした向日葵を抱き寄せれば憑魔が慌てて逃げ出した。
…多分スレイ達と鉢合わせで浄化されるだろう所まで考え、向日葵と向き直る。
下を向いてしまった向日葵に怖がらせないよう優しく頬に触れる。
「ごめんなさい…、」
手に濡れた感触。
…泣いているのだろうか。
「こっちこそすまなかった。…怒ったりして。」
「ううん。私が悪いの。ミクリオは悪くない。」
「いや、違う。僕の言葉が足りなかったからだ。本当にすまない、怖い思いをさせてしまった。」
本当は心配で堪らなかったから。
ただ、それだけ。
それを伝える為だけにこうやってすれ違って怖い思いをさせてしまって…
最初から言えば良かったのに。
「心配させてごめんね、ミクリオ。でも、私やっぱりミクリオ達と一緒に行きたいの。」
「…どうして?」
「ミクリオと一緒にいたい。それじゃダメかな。足手まといなのはわかってる、でも待つより近くでいた方が、私は…」
「向日葵…。分かった、みんなの方には僕から言っておくから。」
向日葵がそんな事を思っていたなんて思っていなかった。
僕は怖い思いをさせただけではなく、彼女の意思をも無視していたんだ、と痛感してしまった。
お互いが分かり合うのに時間はかかったけれど、なによりもうこんな思いはしたくない。
彼女が好きだから。
ミクリオの甘ですね、
書いて投稿してから気付いたのですがヒロイン、天族が見えてるなら憑魔も見えてんじゃね?
というつっこみは敢えてスルーで。
しかも憑魔って喋るっけ?というつっこみも華麗にスルー。
ミクリオはヒロインの事を愛していますからそれはそれは心配なのですよ。
最初怒鳴ってしまったのはそれのせいですね。
ただ、あんな事になるとは思わなかったでしょうが。
ただ、ミクリオに護ってもらいたかっただけです(笑)
管理人・エア