大きくなったら男の子になるものだと思い込んでいた。


同じ年頃の少女が絵本の中の王子様に憧れを抱くころ、ゴールドはむしろ、自分が王子様になることに憧れ、そうなるものだと信じていた。


颯爽と馬を駆り、まるで英雄のように活躍する姿が未来の自分であると想像しては憧れていた。


方向は違えど、その年頃の少女に特有の妄想であった。


けれど真実は残酷で、多くの少女が絵本の中の王子様はいないということに気づく頃にはゴールドも自分が女のままであることを知った。


成長するにつれ、自分の体は滑らかな曲線を帯びて、黒髪は艶を増していく。


ゴールドはその媚びるような体つきが堪らなく嫌いだった。


だからゴールドは普段から体の線をごまかせる大きめの男の子の服を着て、自分の体から目を背けた。


けれど、毎日母が櫛を入れるのを楽しみにしている少し長めの黒髪だけは切ることができなくて、そっと帽子の中に隠していた。


できることなら、性別を取り換えて生きた姉弟の物語のように、大人になってもずっとそうして男を装ったまま暮らしたかった。


しかし、今のゴールドには少女であることを心の底に閉じ込めておくしかできなかった。


そうやって現実を押し込めているから、真実は誰にも知ってほしくない。


仲間たちの多くはゴールドが男であると思っているし、それでいいと思っていた。


その意思に反して女の体になっていく自分の姿が憎らしい。


男物の服では隠せなくなってきた胸のふくらみや頬の丸さがじりじりとゴールドの中から真実を引きだしていた。


「あぁくそ、また育ってやがる」











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