図鑑調整の為にマサラのオーキド研究所に集まっていた図鑑所有者たち。
シンオウ組を除いて、10人の所有者たちが他愛のない会話で暇を潰していた。
「シンオウの子たちは、悪天候で船が出なくてコッチまで来れないみたいね」
ブルーが言う。全員居たらカラオケでも行くのに、と。
「………天気、崩れそうっスね」
「……ゴー、崩れる前に外で一勝負しようぜ?」
「お前らは例え崩れても勝負が終わるまでやめないからダメだ」
レッドとゴールドに、グリーンが待ったをかけた。
暇だ暇だと、言って居られるのも今のうちだと、彼らは………特にゴールドは………知る由もなかった。
それは唐突に起こった。
バタン!と乱暴な音が研究所の入口から聞こえ、バタバタと走る音が響く。
ふっ、と所有者たちが顔を上げると、この部屋の扉がまた乱暴に開かれた。
「……………」
「お嬢、ちょっと待って…!」
「いきなりなんだってんだよー!」
そこに現れたのは、悪天候の為来られなかったハズの、シンオウ地方図鑑所有者。
「お兄様っ!!」
バン、と壁を叩いて、プラチナは言った。
「1週間はお父様が帰ってこないから、屋敷の皆様とお兄様の誕生日を祝うと、言ったじゃないですか!
何故いらしてくれないのです!
ゴールドお兄様っ!!」
プラチナのその言葉に当事者の、ゴールド、プラチナと、ルビー、サファイア、ダイヤモンド、パール以外の所有者たちが固まった。
「……ゴールドさん、そんな約束してたんですか」
「知らなかったと。……せっかくあたしらも祝おうとしとったとに」
ルビーとサファイアの呟きに、ゴールドは「あぁー…」と言葉を濁す。
「悪いな。完全に忘れてた。
……てか、マジで今年もやるのか?」
心底嫌だ、とゴールドの顔に書いてある。
「お兄様が自身の誕生日が嫌いなことくらい、1番知っているつもりです。
それでも、私たちはお兄様を………」
おい、お前ら!
「話の意図が見えん」
「ってか、ゴールドあんた、このプラチナって子と兄妹だったの!?」
「プラチナさんって確か、シンオウ随一のお金持ちの令嬢じゃ…」
「てことは、ゴーって……御曹子…?」
「それもビックリだけど、ゴールドの誕生日の方がビックリよ!」
「何故ホウエンの奴らが知っていて、俺らには教えてくれなかったのか、聞く必要があるな」
「いや、俺ホウエンで1人だけ知らなかったから。
あのバカップルだけだから」
「バカップルだなんて失礼な」
「でもゴールドさん、きっとあん時あんな会話にならなかったら……あたしらにも教えてくれなかった気がするち」
「…なぁダイヤ、おれらって何のために来たんだっけか?」
「図鑑調整じゃない〜?」
「お兄様、逃がしませんわよ!」
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