「……おい…ドコまで行くんだよ………」

深夜、ゴールドは山道を歩いていた。

前方には、まさかこんな時間に自分を呼び出すようには見えない真面目な学級委員長と、生真面目で不器用な好敵手。

「もうちょっとだから、きちんとついてきてね」

「フン、これくらいで…だらしない」

「うっせークソシルバー。テメェと違ってオレは昨日徹夜してっから、眠ィんだよ」

「ゲームで徹夜なんかするからだろ」

「育て屋の手伝いだっての」

はぁ、と溜息をついたゴールドに、シルバーとクリスタルは顔を見合わせた。

クリスタルが申し訳なさそうにゴールドを見る。

「………あ」

そこで、ようやく道が拓けて視界が広くなった。

「……………」

ゴールドは言葉を失った。

「………流星群……?」

星が、墜ちる。

無数の輝きが、ゴールドの思考を奪った。

「綺麗でしょ。ここ、星を見るには絶好のポイントなの」

クリスタルが言った言葉に、ゴールドが振り返る。

「あと5秒」

そう、シルバーがポケギアを見ながら呟いた。

「は?」

疑問符を浮かべると、今度はクリスタルまでもがカウントダウンを始める。

「4」

「3」

「2」

「1」

カチッ

日付が、変わる。

その瞬間。

本日一番輝く星が、ひゅっ、と流れた。

「「誕生日おめでとう」」

「………は?」

ゴールドは思わずそう零した。

誕生日、誰の?今日は…日付がかわって7月21日。

「………オレの、誕生日…?」

「まさか…忘れてたの?」

クリスタルが嘘でしょ、と呟く。

「お前は自分から言ってきてプレゼントを催促するイメージが……」

シルバーが続ける。ゴールドはムッとしながらも返した。

「……お前らのなかのオレってどんだけイヤシンボなんだよ」

そう言ったゴールドに、シルバーとクリスタルは小さく笑って言った。



誰よりも先に祝えてよかった。



「………まさか、これだけのために此処に…?」

「えぇ。あなたの家に居たら、同じようなことを考えてる人達に先越されちゃうでしょう?」

「同じようなことを考えてる人達…」

「………姉さんたちが、お前の誕生日パーティーを開くと言っていたからな」

「え、いいのにそんな。この前ルビーの誕生日パーティーしたばっかじゃん」

「ダメよ!」

「駄目だ!」

「………何でそんなに怒ってんの」











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