ぴんぽーん

ジョウトのワカバタウンに建つ、ポケモン屋敷。

その屋敷内に響いたインターホンに、ゴールドは顔をあげた。

「来客か?」

そう言ったのは、カードゲームをしていたレッド。

そして、レッドと一緒にカードゲームをしていたイエローとシルバーとクリスタルも顔をあげた。

レッドとイエローは、オーキド博士の研究所のジョウト支部に用事があり、その帰りにゴールドの家に。

シルバーとクリスタルは、ゴールドに呼び出されて来ていた。

「うーん…、今日誰か来る予定だったっけか……?」

首を傾げながらも、この7月の猛暑の中、外で待っている人が居るのだ。

ゴールドは扉をあけ、玄関に出た。

「はいはーい…どちらさ……」

「……………」

戸を開けて、ゴールドは目を見開いた。

浅朱の瞳が静かに、ゴールドを見つめる。

「………赤?」

「………ゴールド、」

ようやく口を開いたかと思うと、

「……水、………貰えないかな」

うっすらと汗を流しながら、赤は言う。

「…こんな暑い中外で待ってるからだろ、勝手に入ってくればいいのに…!」

とりあえず、と家に招き入れて、ゴールドは台所にお茶を注ぎに行った。



赤が部屋に向かうと、そこには見知らぬ人間が居た。

ただ、彼らの手元にあったカードから、自分が此処に来た理由とは違う理由なのはわかった。

「………赤?」

後ろから、グラスにお茶を注いできたゴールドが話し掛けて、赤に、はい、と渡す。

それを受けとって、赤はそれを一気に飲み干した。

「………はぁ」

「で、どうしたよ?わざわざシロガネやま下りてきたんだろ?」

「……………」

後ろから、4つの視線を感じる。

そんなの気にせずに、赤はゴールドと視線を合わせた。

「……今日って…7月21日だよね?」

シロガネやまに居すぎると、時間感覚がおかしくなる。

まともな電波も届かない山奥で、赤は必死に数えたのだ。

「………え?あぁ、21日だけど………」

壁にかけてあるカレンダーを見て、ゴールドが答える。そこには何も書かれてなくて、彼が今日のことを赤に教えてくれなかった理由を少しだけ理解した。

彼は今日という日を、何とも思っていないワケだ。

それでも、赤は伝えたかった。

「………ゴールド、」

カバンから、小さな箱を取り出す。

シンプルに装飾されたソレを、赤はゴールドに、ずいと突き出した。

「誕生日、おめでとう」

「……………え?」

「「「「………え」」」」

ゴールドは耳を疑った。

今、赤は、なんと…?

「……なんで…知って………」

「………それは秘密」

そして、赤は窓に足をかけた。

「…今日は…コレが言いたかっただけだから……」

橙色の翼がひらりと舞って、窓から飛び降りた赤を背中に乗せる。

「ちょっ…赤!!」



そして均衡は崩れた。



「ゴールド!誕生日ってどういうことだ!!」

「ゴー、パーティー今からでもいいか!?」

「あっ、あのっ、じゃあぼく、ほかの図鑑所有者に連絡まわしますね!」

「いつも関係ないことばっか言って、大切なことは何も言ってくれないのねゴールド!」

いつもバカやってる時の説教よりも怒っている様子に、ゴールドは戸惑うしかなかった。












人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -