■切なめ
■静ちゃん彼女有設定
朝は晴れていたのに午後から降り出した雨は放課後の今もザーザーと降り続いている。
天気予報はハズレなかった。
どさっと何かが落ちる音がするほうを見れば、シズちゃんが下駄箱から靴を出したところだった。
「シズちゃん今帰り?雨結構降ってるよ。どうせ傘持ってないんでしょ?」
ひらひらと天気予報を信じて持ってきた自分の傘を見せびらかす。
「なんだ手前、相変わらずうぜーな」
不機嫌を露にして、睨まれた。
「うざいとか酷いなぁ。途中まで入れてあげようと思ったけど、やっぱり濡れて帰って、風邪引いて、そのまま死んでよ。シズちゃん」
「てめえが死ね。」
いつものやり取りをしていると、シズちゃんの視線が玄関の外で止まる。
振り向いてみると、ピンク地に水玉模様の傘が視界に入った。
「わりぃ、待たせた」
シズちゃんの顔が少し綻んで、傘を持つ少女に近づく。
二週間前から付き合い始めたシズちゃんの彼女だった。
シズちゃんは彼女から傘を受け取ると、仲良く肩を並べて歩いていった。
傘の隙間から二人が楽しそうに話してるのが見える。
シズちゃんの左肩が傘からはみ出て濡れていた。
初めて自分の用意周到さを呪った。
傘なんか持ってこなければよかった。
雨に濡れれば、この涙も隠せたのに。
今日も雨
(二週間前から、ずっと降り続いてる。)