■さわやか来神?
■R15?




そよそよと吹く風が肌を撫でて気持ちいい。ごろんと寝そべっているのはどこかの草原で。横ではゆらゆらと草花たちが風に身を任せて揺らいでいる。あたたかな陽射しを浴びれば、すぐに眠気に襲われた。

あー眠ぃ

吸い込まれそうな真っ青な空を見上げてから、瞳を閉じる。心地よくてウトウトしていると遠くから駆けて来る足音が聞こえる。さらに、はぁはぁと荒い息遣いが耳に入ってきた。すぐに近づいたそれはずしっと自分の体にのしかかって、元気よく鳴いた。

「わん!!」

驚いて目を開ければ、ゴールデン……なんとかという薄茶色のきれいな毛並みをした大きな犬が、かなりの近距離にいる。犬は目が合うとうれしそうにぺろぺろと顔を舐めてきた。

「わ やめろって」

よしよしと頭を撫でていると、次第に顔から首、首から胸へと舐められる。気づけば、ブレザーの中に着たYシャツのボタンがすべて外されていた。じゃれつく犬を引き剥がそうとしても、なぜだかいつもの馬鹿力が発揮されない。
そして、どうやってベルトを外したのかわからないがズボンのチャックが全開にされて、穿いていたトランクスをずらされる。

「!? なっ 」

露になった性器に犬のよだれが一筋垂れて身震いした。犬は制止を無視してぺろぺろと硬くなってきたそれを舐める。ざらつく犬の舌が意外にも気持ちいい。

「はぁ…… そこ だ……めだって……!」

通常あるはずの犬の牙が当たることもなく、性器はべろべろのよだれまみれにされていた。亀頭をぱくっと咥えられたら、尿道を舌先で突付かれる。じゅぽじゅぽと全体を口に含まれて、裏スジの弱い部分を攻められればもう限界だった。

「うっ や、べ、!」

出る!!




―――――そう思った瞬間、目が覚めた。
見渡せばそこは教室で、腕を枕にして寝ていたのだと理解した。そういえば、退屈だった6時限目の現国の時間に眠気に勝てなくて机に突っ伏したんだっけ……と冷静になってみるが、今の今まで見ていた夢に恥ずかしくなる。

なんつー夢見てんだ俺は……

そうとう溜まってんのかと心配になっていると、机の下に妙な気配を感じる。嫌な予感がして、机の両端を持つと、ぶんっっと上へ投げつけた。机は勢いよく天井に突き刺さり、パラパラと天井の破片が少し落ちてきた。なくなった机の下から現れたのは、足の間に納まっているノミ蟲だった。

「あ、シズちゃん、おはよう。(気持ち)いい夢見れた?」

にこっと笑う顔の口元には、白い液体がこぼれていて……細ッこい指に握られているのはまぎれもなく、俺の息子だった。

「!!?てっめぇぇええ、何してやがんだゴラァ!!」

「何って……見てわかんない?フェr……」

「だあ!!んなこと言ってんじゃねぇ!!人の寝込み襲って何を勝手にいじくってんだあああああ」

「だから、ナニをふぇ……」

「ちげぇ!!聞きてーのはそこじゃねぇ!!なんで、んなことしてんだよ!!」

きょとんと涼しい顔をした臨也にブチぎれる。いやいや、寝てる人間のピーをピーするなんて普通に考えておかしいだろっっ!!……しかも、ここ学校だぞ?前から、もう前々からこいつは頭おかしいとは思っていたが、これはさすがに俺の理解の範疇を超えている。がつんと言ってやろうとノミ蟲を見ると、カチャカチャとベルトを外していた。

「何してんだよ」

怪しい行動を怪訝に思って尋ねれば、あっけらかんとあいつは答えた。

「え?エッチしようと思って」

「はあああああ!!?ここ学校だぞ!?」

「そうだけど……シズちゃんの舐めてたら俺もしたくなっちゃった……」

「いや、まじーだろ……俺は絶対やんねーぞ」

ありえない行動に脱力する。どうしたんだこいつは。まぁ、普段からエロいやつだとは思っていたが、ここまでとは……。し、したくなる気持ちもわからなくはないが、さすがに教室は危険だとはっきり言おうとすると、ノミ蟲がじとっとこちらを見つめていた。

「なんだ?」

問いただすと、理不尽なことを言われた。

「シズちゃんのいじわる。自分だけ気持ちよくなれればそれでいいの?」

な ん で だ っ !!

お前が勝手にしてきたんじゃねーかよ!!

アホな会話に頭がくらくらしてきた。なんで俺が責められるんだ?

「頼んでねーよ」

そうだ、俺はただ寝てただけで、したかったわけじゃない。ぱくんと食べろとも言ってない。付き合うのも馬鹿らしくなって帰ろうとすると、ノミ蟲の泣きそうな声が耳に入る。

「ひ……どいよ。俺は……気持ちよさそうに寝てるシズちゃんをもっと気持ちよくしてあげようと思っただけなのに……」

うっ

首をうなだれてしょげる姿に罪悪感が芽生える。た、たしかに気持ちよくしてもらった。すっげー気持ちよかった。夢とリンクしてふわふわしててよかったけども!!

「で、でもよ……ここは学校だしよ……ゴムもローションもないからできねーだろ?」

と、まっとうな理由を口にする。男のあそこは勝手には濡れないから潤滑油が必ず必要だったし(一度だけナシでやったら、かなり痛かったらしく、ローションなしではもうしたくないと言ったのは臨也だ)、そして、俺たちはきちんとゴムをつけて行為に及んでいた。(だって、まだ高校生だからな。子供が出来るわけじゃねぇけど、ナマですんのは責任の取れる大人になってからだと思っている)
これで、あきらめると思ったのにそうはいかなかった。

「ああ、それなら大丈夫」

臨也がにこっと微笑めば、さっきぶん投げて天井に刺さっていた俺の机が、タイミングよく大きな音をたてて落下してきた。臨也はその机の引き出し部分に手を入れて、何かを取り出す。ほら!と差し出してきたのは、真新しいローションとゴムだった。

「ああ、なんだあんのかよ。あいかわらず、手前は準備がいいな。これならできる……って、ちょっとまてえぇええ!!人の机に何仕込んでんだよっっ!!」

ありえねぇだろ!!持ち物検査があったら、やべぇのは俺じゃねぇかっっ!!

「え、シズちゃんのノリツッコミはじめて見た」

「うるせー!!さっきっから手前は論点ずれてんだよ!!とにかく、無理だ無理!!」

もうこの話は終わりにして帰りたかったが、くいっと腕を掴まれる。すでに外は夕焼けになっていた。窓からオレンジ色の光が差し込んで、それをバッグにした臨也が真剣な眼差しでこちらを見つめている。心なしか、瞳がうるんでいてハッと息を飲んだ。

「好きなんだ、シズちゃん……」

切なそうに呟くと、臨也は俯いてしまった。唐突の告白にどきりと胸が高鳴る。なんなんだよ、こいつは!さっきまでのやりとりを無視して、こんなふうに告白されると、一気に緊張してしまう。暫しの沈黙が流れて、「俺も手前のことが……」と普段言いなれていない言葉を紡ごうと口を開きかけたそのとき、あいつが続けて言った言葉に固まった。

「……のちんこが」

………………

あ?
ああ??
ああああああああ!!??

なんっつーこと言いやがったこいつは!!?なんでそこ付け足すんだよ!?
くらぁっと眩暈がして頭に手を乗せると、臨也は適当にそのへんの机の上に腰掛けて、自身の赤いシャツをめくりだした。

「もうつべこべ言ってないで、……ね、しよ?」

くねっと腰を捻らせて、上目遣いで誘ってくる。
―――――あほなこと言うこいつにもう返す言葉はない。おまけに、上目遣いとピンク色の乳首が俺の欲情を煽ってきた。据え膳食わぬは男の恥とも言うし……。
臨也に近づけば、すぐに首に腕を絡ませられる。ちゅっと軽いリップ音をたてて、本日初めてのキスをする。

「する気になってくれた?」

「……仕方ねぇな」

「うれしい!俺もうシズちゃんが欲しくて体のうずきがとまんないの。……激しくしてもいいよ?」

うっとりと頬を染められながら言われて、下半身に熱が集中する。だから、なんなんだよこいつは。……これが世に言う、エロカワいいってやつか??そんなことを思った自分に自嘲気味に笑う。こいつはノミ蟲だ。それはまちがいねーけど、今はエロカワノミ蟲に変身している。普段は小憎たらしいくせに、こういうやらしい顔はすっげーそそられる。もうここが教室とかどうでもよくなって、目の前のおいしそうなものを食べることに決めた。今度は濃厚なキスを開始する。

「ふぁ ん んっ 」

舌を絡ませて、いつ先生が来ないとも知れない緊張感にドキドキしながらも差し出された乳首に指をはわす。敏感なエロカワノミ蟲はピクリと反応して、甘い声を漏らした。
もうどうにでもなれ。誘ってきたのは手前だ。俺の熱が発散されるまで付き合ってもらうからな!静かな教室にぴちゃぴちゃと卑猥な音が響くのを耳で受け止めながら、心の中で宣戦布告した。


彼女がエッチで困ります。


そんな臨也に惚れてる俺は今日も元気に腰を振る。


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