チョコ戦


本日バレンタインデー

「ワオ!トトリ久しぶり。今日バレンタインなんだってね?」
「チョコレートを頂きに参りマシタ」

ででーん、

ギアステに現れた海外の白いのと黒いの。
狙ってやってきたとしか思えないが、2人のサプライズな登場(無駄に容姿が良いので目立つ)に駅のホームはざわついた。

「きゃあああっインゴさんにエメットさんよ!今日来るって噂は本当だったのねっ」
たくさんの黄色い声。
ノボリさんとクダリさん目当てで来ていた女性達もただでさえ今日は元気なのに、その場はさらにヒートアップ。

ノボリさんとクダリさんはもちろん勤務の真っ最中。
が、あのインゴとエメットが来た。となれば予定を詰めてでももうじき彼らを出迎えに此方に来なければならないだろう。
この二人はこの場から離れるつもりはこれっぽっちも無い。
出迎えにノボリさんとクダリさんがホームに来れば、途端に大勢の女性に包囲されるのは確実。
なんだか4人揃ったらとんでもない事態になりそうだ。

で、私は二人に運悪く発見され、海外のボスを無下に扱うことも出来ず、ぐずくずしていたら三人一緒に沢山の女性たちに囲まれることになった。
早速チョコレートを受け取りまくっている彼らに一応仕方なしに挨拶をする。

「エメットさん、インゴさんお久しぶりです」
「ハロートトリ。キミの住んでるとこって最高だね!まさかこんなにハッピーな日だったな…ん?oh!、thankyou♪」
私と会話するか周りからチョコレート受け取るかどっちかにして欲しい。
まったくこれ以上ホームが荒れたらどうしてくれるのか。

「ワタクシ少々時差で疲れました。一服したいです」
ずっと時差ボケしてろ。
インゴさんは腕組みをしながら喫煙所をキョロキョロさがしていた。
大きな紙袋を床に適当に置いて、チョコレートを渡しに話しかけてくる女性にそこに入れとけと言わんばかりに顎で指す。
ドSの鏡だ。
そして何故だろう、女性は皆喜んで紙袋にチョコを入れていく。
きゃあきゃあと賑わうホーム。
既にわらわら感が半端ない。

「インゴ様、エメット様!」
「もおおお!二人とも急に来たらギアステ混乱するからヤメテって言っておいたのにっ!」

来た。
ノボリ&クダリ。
女性達のボルテージが更に上がっちゃうのは言うまでもなく。
「ああっノボリさん来てくれたわ!」
「やあんクダリさん今日も可愛いいっ!」
ツカツカと互いに歩みよる4人。
女性達も流石に邪魔してはいけないと思ったのか、4人揃うのをきゃあきゃあ言いながらも見守った。

「やあノボリにクダリ元気してた?…ンー?ちょっとお疲れ気味かな?アハハ!」
「ノボリ様、至急喫煙所を…」

キラキラ笑顔のエメットさんと我が道を行くインゴさん、
いつもは2人に手を焼くノボリさんとクダリさんなのだが、

「久しいですね。本当に、本当にお元気そうで。何よりでございます。…突然ですが、今日はお二方にも仕事をお手伝い願います」
「バレンタインの日がどれだけ激務か、ふたりとも覚悟してよね!」

「エ?」
「ハイ?」

ぽかんとした表情。
いつも優位で余裕なインゴさんとエメットさんには予想外だったのか。
それはもう可愛いくらい間抜けな顔でした。





「えー…只今シングル、ダブル、マルチ全て2時間待ちでーす。各最後尾は此方になりまーす」
駅員さんがテキパキと人並ぶ列を整理する。
「すごい!ボス達考えましたよね!」
「インゴさんもエメットさんも急にいらっしゃっるから正直俺達心配だったんだけど…。お客さん達も柔軟に対応してくれておかげで今日は満員御礼、いやそれ以上だよ」
今日は特別ボーナス出ると思うよトトリちゃん!なんて駅員さんは嬉しそうだ。
よっしゃ!

シングル、ダブルはノボリさんとクダリさん。
マルチは今日は特別にインゴさんとエメットさんが構えることになったのだ。

バレンタインデーと言うこともあり、ノボリさんクダリさんに会うため(チョコを渡すため)今日はシングルダブルだけでも回りが良すぎて忙しかったらしい。
女の底力恐るべし。



ピンポンパンポーン♪

『本日もバトルサブウェイをご利用頂きまして誠にありがとうございます。本日午後のマルチトレインは急遽、海外支部マスター、インゴ、エメットが担当をさせて頂いております。シングルトレイン、ダブルトレインは通常通りイッシュ本部マスターノボリ、クダリが担当致しております。一部変更により午後の運行の―…』

因みに私のお仕事。案内受付&アナウンスです。
今日はいつも以上に放送を流さなければならない。
ホント急に来てくれちゃって、こうなれば絶対に特別ボーナスゲットしてみせますからね!!
ん?チョコレート?
なにそれおいしいの?



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おいしいよお!