二次男子的恋愛 | ナノ




競伸び-せのび-




なんでも競い合ってしまう。

いや、気が付けば競い合っている。


「おめーよぉ…」

「何故我の邪魔をする」


言いたかった言葉を先に問いかけられてしまう。
それはこっちが言いたかった言葉だっ、と少し怒鳴りながら言えば「ただ我がしたかった故よ」と涼しい顔で言われる。
それが癪に触ったので、小さな声で呟く。


「…ちいせぇくせに」

「なっ…!?」


反応から見るにそのことは気にしていたらしく、少し得意気になる。
普段から冷静で罵っている姿ばかりを見ている自分にとって、それは新鮮でなんだか少し嬉しくも感じる。
だが、この相手がそこで黙っているはずがない。


「…昔は女々しかったくせに」

「う、うるせぇっ!」


過去のことを引きずるなんて、と少しむっときながらもここで乗せられては相手の思う壷だ。
だから、あくまでも冷静に言葉を返す。


「今もちいせぇ奴に言われたくねーよ」

「…我を愚弄するつもりか?」

「別に、誰も小さくて悪ぃなんていってないし、馬鹿にもしてねぇ」

「…小さいを連呼するなっ!」


とうとう我慢の限界が来たのか、いつもの冷静な表情が崩れ怒りの眼差しでこちらも見ている。
だがそこで負けるほど自分も落ちぶれてはいないし、そんな様子が何故か可愛くも感じた。


「嘘にきまってんだろ」


わしっと頭をなでる。
いつも被っている兜が無い分、少し低く感じるがそれを言えばもう止めることはできないだろうから言わない。
茶色の髪の毛が指に絡むのを感じながら、相手の表情を見ないようにする。


「…どれほど我を愚弄するのだ、長宗我部」

「だから、そういう意味じゃねーよ」

「我にはそう思う」


そう言う割には、何も抵抗しないから可笑しく思える。
だから、しばらくの間髪で遊んでいれば相手はぽつりと言葉を洩らす。


「……何故いつも我と同じことをするのだ」

「それはおめーがだろ?」

「いや、貴様がだ」


あぁ、これじゃいつものように競い合ってしまうではないか。
そう思いながらも「あ」とあることを閃いて、少し下をむいて表情が見えない相手に言う。


「気が合うってやつじゃねーの?」

「……その逆だと思うが」

「そう言うなって」


な?と尋ねるようにして言えば。相手は何も言わない。
けれど、それが答えなのだとつい笑みがこぼれてしまう。
普段ならどんなことがあっても認めないくせに。


「まぁ、俺ぁ…お前と競うのって好きだぜ?」

「…我も飽きなくて済む」

「素直になれよ」


煩いと、ここでようやく腕を振り払われる。
ほんと素直じゃない奴だなと心から思う。
けれど、そんな相手が面白くて、ムカついて、好きなのだ。






競い合うことが、今じゃとても好きなことになっている。




つまり、それくらい気が合うってことなのかもしれない。




Fin.

11.08/25




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