青い空
白い雲
キラキラと輝く砂浜
そして頭の上のハムスター

「いやわけわかんねえよ」

左右田はそんなことを呟きながら目の前にある覇王様の背中を睨んだ。

なぜ田中と二人で砂浜なんかにいるのか。
朝から様子のおかしかった田中が朝ごはんを食べながら何やらブツブツ呟いていたかと思ったら、

「そうだ、海に行こう」

なんて言いながら立ち上がり、え、何いってんのこいつみたいな顔して田中を見ていた左右田の手を引きながら海に繰り出したからであった。

わけも分からず海に連れて来られてしかもそのあと話をするでもなく左右田にずっと背を向けたまま黙って立っているだけであった。

ほんとこいつ何したいの。と心の中で呟きながらひたすら田中の背中を睨みつける。
ひたすら見ていたらその背中がかすかに動いているのに気づいた。
へ、と思って今度は田中の後頭部をじっと見つめる。
するとやっぱり、田中がときたまこちらをチラッと見てきていた。

それを見ただけで田中がなんで朝から様子がおかしかったのかがわかってしまって、思わず苦笑いがこぼれた。
そのままとんっと田中の背中に抱きつく。

「?!雑種貴様何を」

「お前分かりにきぃんだよ」

「…」

田中の台詞を遮ってそう言ってやると田中は黙ってしまった。
都合がいいので田中が黙っている間に自分の想いを伝えてやる。

「最近二人でいれなかったもんな。俺だってお前と二人きりになれるチャンスなくて寂しかったんだぜ?」

田中が左右田を無理矢理海に連れて来たのには理由があった。

ここ最近は採取も田中と左右田は別々の場所でしていたし、自由時間には話しかける前に別の人物に捕まってしまって会いに行く暇もなかったのだ。
恋人と一緒に過ごせないのは寂しいし悲しい。
そんな生活が一週間も続いたのだからそりゃ田中もこんな行動に出てしまうだろう。

「一緒にいたいのは俺だっておんなじなんだから」

だから口に出して言えよな、行動で示すんじゃなくて。

そう言い切った後田中の顔を覗き見たらそれはそれは穏やかな顔をしていたもんだから思わず顔が赤くなってしまう左右田であった。

『時間共有』
(好きな人とはいつまでも一緒にいたい)