(雪男と)

キスをする時。
瞼を閉じる雪男の顔は酷く幼く見える時がある。
安心しきってくれているのだろう。身も心も預けてくれる雪男に胸が温かくなる。
普段はいやに大人びていて、口を開けば年寄りみたいに嫌味と皮肉と愚痴交じり。気苦労の絶えない溜息の多い雪男。
そんな彼も、ベットの上だけは年相応に、15歳の少年に戻る。

「なまえさん・・・」

熱に浮かされたように熱っぽい吐息交じりの声と、涙にうるんだ青い瞳。

「雪男、かわいい」

布一枚身につけず、原始的な生き物のようにシーツの海で泳ぐ私と雪男。
汗ばみ額に張り付く髪をかき分けてやる。
ふたりの邪魔をする眼鏡には御退場いただこう。
ほのかに香る汗の匂い。雪男の汗の匂いは、嫌いじゃない。
カーテンから漏れる陽だまりの光に背徳感を感じ、私は薄く笑ってキスを待つ雪男の唇に口付けた。
朱が差す丸い頬。長い睫毛がふるると震える。

「雪男、かわいい」

真っ白な15歳の少年を穢す官能に、私の胸がときめいた。

20111004 魔女