2、告白



 そして、体育祭が来た。

 5月の2週目の土曜日。朝から晴天で風もなく、暑くも寒くもない。これぞ祭り日和ってな一日になりそうだった。

 実行委員会の奴隷奉公であるあたしも朝早くから招集されて、バタバタと校内中を駆け回っていた。

 軽いアドレナリンが出ているのか、やたらと体も軽い。わくわくする。やっぱり体を動かすのって、楽しいかも。それに基本的に、お祭り騒ぎが好きなのだ。勉強ではない、こんなことは大歓迎だ!

 校庭では時折歓声が上がり、にぎやかな音楽とマイクをつかう進行係の声がそれに被さる。

「えーっと・・・・白墨の、代え代え・・・」

 校舎の裏側にある倉庫に首を突っ込んで、あたしはついさっき与えられた任務を全うするべく努力をしていた。

 埃っぽい倉庫の中は薄暗く、よく見えない。

 ・・・・あれ、どこだろ。ここ開けたら、すぐ判るって言われたんだけどなー・・・。頭だけでは埒があかないと体ごと倉庫の中へ入って、白墨が入った大きな茶色の袋を探す。埃を吸い込んで咳と涙が出た。

「・・・判んない」

 くっそう、困ったな〜。別の倉庫かな?どっかで先生捕まえて聞くっきゃないかも。

 そう思って倉庫から出ようとした時、物音に気がついて顔を上げる。真ちゃんがいた。校舎裏にある林のそば、倉庫から少し離れた場所に、真ちゃんが立っている。

 あ、真ちゃんだ。あれ?何してるんだろ――――――

 あたしは声をかけようとして、ハッと息を呑む。ジャージ姿の真ちゃんの横に立って彼を見上げる、女の子の姿が目に入ったから。

 ―――――おお〜っと、これって・・・。

 思わず倉庫の中に隠れて、忙しく考える。

 これってもしかして、告白タイムってやつでは――――――――――――

 いきなりうるさく活動しだした心臓を押さえて、あたしは倉庫のドアの陰からこっそりと顔を出してみた。

 女の子は、同じ3年生の隣のクラスの子だった。普段あまり目立たないけれど、何度か話したことがあったよね?上品な感じの爽やかな笑顔の子だったと記憶している。一度化学の実験で合同班になったことがあったような〜・・・。あたしは眉間に皺を寄せて考え込んだ。・・・たーしか・・・え、え、あ、そうだ遠藤さん。

 うわあ〜、そうだったんだ、遠藤さん。真ちゃんが、好きだったんだ・・・。まさか真ちゃんが告白してるんじゃないよね?いやいや、見ている限り、えらく緊張して見えるのは遠藤さんの方だし、真ちゃんが裏庭に女の子を呼び出してってイメージは全く持っていない。だからそうだよね、遠藤が真ちゃんを呼び出したんだよね。わお、凄い勇気だな!今日体育祭だよ!

 普段勉強ばっかになりがちな高校3年生である。体育祭という、一緒に体を動かし盛り上がる機会があれば、普段は気付かなかった男子の格好良さに気付くことも多いだろうと思う。体を動かしている時の人間は、格好いいものだしね、とあたしは多少パニックを起こしながらもうんうんと頷く。皆、真剣な目をして、しかもうまくいった時の笑顔は格別だし――――――――

 なんつって、頷いてる場合じゃないのよー!!!

 あたしはもう一度息を殺してこっそりと覗き見る。真ちゃんは転校してきたばっかなのに、遠藤さんたら素早いなあ〜!そんな感じはないけれど惚れっぽい人だったりとか?いやいや、それより真ちゃん、オッケーするのかな。頬を染めてる遠藤さんが、すごく可愛く見えた。彼女は頭一個分高いところにある真ちゃんの顔を見つめて話している。

 真ちゃんの声は低くて小さくてあたしのところまでは届かず、何言ってるのか判らない。

 心持体を乗り出した時に、遠藤さんが頭を下げてこちらに戻って来るのが見えた。あたしは急いでまた倉庫の中に隠れる。倉庫前を通り過ぎる時にちらりと見た遠藤さんは、泣いていたように思う。手で目元を拭くような仕草。あら・・・えっと、泣いてた?泣いてた、よね。真ちゃん・・・断った、の、かな?

 その時、人様の、きっと他人には見られたくないだろうシーンを覗き見してしまって動揺しすぎたあたしの足元がぐらついた。

「・・・・わっ・・・」

 後ろの何かに躓いて、積み重ねられたマットの上に倒れこむ。下半身をコンクリートの床に打ち付け盛大に埃がたって、あたしは激しく咳きこんだ。苦しい〜!

 ああ・・・・なんて最悪な。口元を手で覆いながら、涙目で躓いたものを確かめたら、探していた白墨の代え袋だった。

 ・・・見つかったけど、吸い込んだ。

 体を折って、マットの上で咳きこむ。ごほごほと咳が止まらなくて呼吸が出来ず、苦しくて涙が出た。

 嘘ぉ・・・真面目に苦しい〜・・・!息が、息が。咳きこんで体を丸める。白墨も舞い上がり、倉庫中に散らばっている。息が出来な―――――

 その時、涙で霞んだ視界がゆらりと動いて、あたしの体は宙に浮いていた。

 腰と膝の裏を強い力で支えられて、誰かに抱きかかえられて倉庫から出たのが判った。

 視界が明るくなり新鮮な空気が肺に入ってふっと楽になる。

「ごほっ・・・・」

「大丈夫か」

「・・・・」

 真ちゃんが覗き込んでいた。

 ・・・あーあ、真ちゃんに見つかっちゃった・・・。何で静かに隠れとけないのよ〜あたし!!自分が腹立たしくて、心の中で突っ込む。頷きながら真ちゃんから離れて顔を外へ向ける。呼吸が出来るようになった。

「こほっ・・・ふ・・・あり、がと、真ちゃん」

 全身から埃を撒き散らしながら、あたしはその場でしゃがみこむ。あああ〜・・・マジで苦しかったああああ〜!!肺が真っ白になっちゃったかも。

 ようやく落ち着いて呼吸が戻ったあたしは、涙目を拭きながら真ちゃんを見上げた。中腰になって覗き込む真ちゃんの顔は心配そうに曇っている。あ、これ心配してるよね。ダメダメ、安心させなきゃ。

「もう、ほんと大丈夫。・・・あー、苦しかった。うわあ〜、死ぬかとおもったあああ〜!」

 ホント、死から生還した気分。嘘でなくて。そう言いながら立ち上がったあたしを見て、真ちゃんはふと息を吐いた。もういつもの表情になっている。

「・・・何してたんだ?」

「仕事だよう!白墨の替えを探してたんだけど・・・中々見付からなくて、やっと見つかったと思ったら、それにつまづいてコケたの」

「ん?」

「だから、ないなあと思って出ようとしたら足元にあって、ひっかかったの!」

 けほけほ、とまだ咳が出る。あーあ、どうしてあたしってこうなのよ。あんなシリアスなシーンをこんな状態で登場して苦笑させてるよ。この真ちゃんの表情、完全に呆れた顔だよね。

 その時、校庭の方で、高飛びの選手集合のアナウンスが聞こえた。あ、集合かかってるじゃん。あたしはしゃがみこんだままで校庭の方を指差して言う。

「真ちゃん、集合だよ、行って。あたしこれ運ばなきゃだし」

 真ちゃんは無言で頷くと、あたしが持ってきた台車に白墨の袋を乗っけてから、片手をあげて行ってしまった。

 ・・・ちゃんと袋を積むのまでしてくれた。うーん・・・ヤツは気もきくのね。今見たことは・・・言わないほうがいいよね。大体あんな格好悪い登場しておいて、一体何を言うつもりよ、あたし!

 一人でぶつぶつとやさぐれていたら、既にかなりの時間が経ってしまっていることにようやく気がついた。笹山は何してるのだ、と文句を言われているかもしれない。よろよろとあたしは立ち上がり、台車を押して校庭の方へ歩き出した。

 人ごみを掻き分けて実行委員会のテントまで運び、真っ白な姿を心配されたり笑われたりしてから次の用事をこなすため、テントを出る。

 丁度目の前で高飛びをやっていたから、無意識の内に真ちゃんを探してしまった。あ、発見。次の次だ。ちょっとみていこ。真ちゃん飛べるのかな・・・。

 ホイッスルがなって、真ちゃんの番が来た。こうしてみると、やっぱり結構大きいよね。身長は高い方だけど肉付きがいいわけではないのにな・・・雰囲気かな?それよりさっきあんなことがあったけど、平常心で飛べるのかな。そりゃあいくらやつでも流石にドキドキしただろうし・・・。ホイッスルが鳴る。真ちゃんはバーを真っ直ぐにみて、走り出した。

 綺麗な弧を描いて真ちゃんの体が空に舞う。ぎりぎりでバーにも触れず、無事着地。あたしは思わずこぶしを握り締めていた。

「やった!」

 点が加算され、歓声があがる。

 飛んでいる彼の、その真剣な表情に、目が吸い寄せられた。

 ・・・真ちゃんは、格好いい。

 無口だし反応が薄くて何を考えているのかよく判らないけれど、雰囲気がいい。

 遠藤さんだってそう思ったんだろう。あれが告白だったのか、それが結局どうなったのかは知らないけど。胸のあたりがきゅうっとしたのを感じた。通り過ぎる遠藤さんが泣いていたかもと思った時に、ちょっとホッとした自分を覚えていた。

 何かが始まっているような、不安な予感におびえる。

 どうしたらいいんだろう。あたしは今、彼の中でどの位置にいるんだろう。そんなこと気にするなんて、一体どうしちゃったんだろう。

 この微妙な恋心を、あたしはどうしたらいいんだろう。

 ざわめきが遠のき、少しの間途方にくれる。

 ・・・真ちゃんのことが好き、なの、かな・・・。憧れとかそんなんじゃないのかな。大きくなっていきなり現れた幼馴染に、ただ混乱しているだけじゃないのかな。あたしは―――――

「あれー、つっつん?どうしたのこんな真っ白になって」

 背中が叩かれてハッとする。振り返るとクラスメイトが数人で移動中で、ボロボロといって間違いなしのあたしを眺め、笑っていた。

「ちょっと酷い格好だよ〜!」

「うるさいな。大変だったんだから。皆どこ行くの?」

「あたしら次出番なんだ。さっきあっちでつっつんのお母さん見たよ〜。探してたー」

「あ、ほんと。ありがと」

 そうか、もう玉入れの時間なのか。音楽が変わって人ごみが動き、やっとあたしも動き出した。取り合えず用事をもう一個済ませたら、顔を洗って着替えに行こう。こんな真っ白な状態じゃ、どこにいても変に目立っちゃうし。お母さんタオル持ってるかな。あ、あたし着替えのジャージ、学校にあったかな〜・・・。

「よし」

 気合を入れなおすと歩き出す。保護者は少ないが、暇だし近所だからと見に来ていたらしい母親を発見して、ハンドタオルを貸して貰う。あんた競技にも出ないでそんな格好で何してるの、と言われ、盛大に膨れた。皆冷たいわ。真ちゃん以外、心配もしてくれない。そう考えて、ああ、と思った。・・・真ちゃんは、心配してくれたんだよね。まあその後すぐに呆れてたけど。

 ともすればぼうっとなってしまう自分の頭を叩く。今はそんなこと考えなくていいの!あたしは自分にイライラして足取りも荒く校舎に入っていった。


 先生にまで笑われた。

「お前酷い格好だな〜!」

「何てことを、先生〜!」

 ・・・・ひどーい。指までさして笑った〜!しかも散々笑ったあとに、ちゃんと後は片付けたか、だって。ぶーぶー。

 カッカしながら水道で顔を洗う。

 最近は忙しい上にどうせ汗だくになるからと化粧もしてなかったので、思いっきりよくばしゃばしゃと洗った。髪も胸元も濡れるくらいに。それでようやくスッキリする。

「はあー・・・生き返った」

 塗れた顔に窓から入る日光が当たって温かい。あたしはちょっと力をぬいて、そのままで突っ立っていた。あったか〜い・・・。ちょっと疲れちゃったな、もう後は終わるまで雑用も大丈夫だろうし、教室で休んでおこうかな。どうせ競技もないし。・・・真ちゃんの高飛び、格好良かったなあ〜・・・。真ちゃん、と考えて、自動的にさっきの裏庭の真ちゃんと遠藤さんの姿が瞼の裏に浮かび、あわてて頭を振る。

「もう!いいってば、ほんと!」

 気にしたってしょうがない。あたしがどうにか出来る問題でもない。

 もう一度顔を洗い、母親に貸してもらったタオルで拭いた。


 教室にいくと佐和子が窓際で校庭の体育祭を眺めていた。

「あれー、なんで佐和子がいるのー?応援は?」

 驚いて駆け寄ると、振り返った佐和子がいたずらっこみたいな笑顔でウィンクしてきた。

「梶君にきいたの。つっつんが真っ白になってるって。手伝いが必要かと思ってきたんだけど」

「へえ、真ちゃんが?」

「いきなり言うから何かと思った。3回聞きなおしてやっと意味が判ったから、あたしが手伝ってくるって言ったら頷いてまたどっかに行っちゃったわ」

 思い出したのかくくくと笑って、佐和子がタオルを持ち上げる。

「つっつんのタオルは汗拭きに使ったでしょ?これ使う?」

「あ、大丈夫。お母さんに借りたから。ありがとー」

 ジャージの替えはなかったので仕方なく制服に着替える間、佐和子がクラスの点数とハイライトを教えてくれた。

「おおっ!結構皆頑張ってるじゃん!理系に負けるのはやっぱ嫌だもんね」

 あたしがそう喜ぶと、佐和子が大きく頷いた。3年生は理系クラスが3つと文系が3つあるのだ。クラス対抗のはずだけど、毎年結果的には理系と文系で競っている状態になる。

「で、何で白墨をそんなに吸い込むハメになったわけ?」

「うん、それがさ・・・」

 ちょっと悩んだけど、結局真ちゃんたちのことも含めて全部話した。口から生まれてきたんじゃないの、と実の親にも言われるあたしだ。友達を前にして、黙っておけるわけがない。案の定、佐和子は目を輝かせて身を乗り出した。

「おおおお〜!遠藤さん、やるー!」

「多分だよ、多分!全部聞こえていたわけじゃないから!シチュエーション的に、多分ってだけ!」

「どうして梶君に聞かないのよ!断ったのかどうかって!」

「聞けるわけないじゃん〜!あたしは真っ白になってげほげほしてるっていうのに」

 あたしが情けない顔をしてそう言うと、佐和子は何と舌打ちをした。

「幼馴染なんでしょ?聞きなさいよそんな面白いことは!」

「幼馴染だから聞けないんだっつーの!一体どんな顔して聞くのよそんなこと!」

「普通に聞けるでしょ!今の何〜?って。そっかそっか、そういえば遠藤さんも高飛びだったからね〜。あたしリレーの練習同じグランドでしてたから見てたんだよね、高飛びの方も。練習中に梶君に恋しちゃったのね、きっと」

「・・・へえ、そうなんだ」

 種目ごとに別にある練習は1年から3年まで合同でやり、連日長時間に及ぶ。確かに仲良くなれるし、知らない人と一気に近づく機会でもあった。

 今年はあたしは競技に参加していないので、仲良くなったのは忙しい実行委員会の面々や担当の先生方だけだけど。

「それにしてもさあ・・・ビックリしたわ。遠藤さんたら敢えてこの時期に告白!?て。だってもう受験だよ?」

 すると佐和子はにんまり笑って言った。

「時期?時期なんかじゃないでしょ、つっつんが驚いて気にしたのは。大事〜な幼馴染を取られると思ったんでしょうが」

「へ?」

 あたしはぎょっとして佐和子を振り返る。佐和子はにまにま笑ったままの顔で、続けた。

「最近つっつんが勉強勉強言わなくなったのは、体育祭だけのせいじゃないと思うけどな〜。梶君がきてからあんた、学校でのテンションおもしろいよ。ちらちら見てるのも知ってるし、存在を気にしてるのも気が付いてる」

 ・・・・・・・・マジ?!!!

「・・・は?それ本気で言ってる?」

 ちらちら・・・見てる?あたしが真ちゃんを!?何だとー!?

「あったりきー!いやあねえ、梶君が好きなら、言ってくれれば応援するじゃーん!ってか好きでしょ、あんた好きなんでしょ?だからそんなに気にするんでしょさっきのことも〜!そんな不安そうな、どうしようって顔して言ってるくせに!」

 佐和子がバンバンあたしの肩を叩く。

「い、痛い佐和子、マジで痛い・・・」

 キャラキャラと笑って佐和子は手を止めた。

「だからさ、つっつんも遠慮してちゃダメよ。幼馴染だからって、恋愛のスタートが一歩先ってわけではないんだからさ」

「いや、だから別にあたし・・・」

 ・・・遠慮・・・別にしてないけど。それに好きかどうか、まだわからないし。大体、真ちゃんが格好いいって思ったのは前に家まで送ってくれた時が始めてだし。あの時は・・・流れで繋いでしまった手にドキドキはしたけれど。でも・・・。恋心?やっぱりそうなのかな?でもでも今までの男の子を好きになったものとはちょっと違うような〜・・・。

 一人でごちゃごちゃ考えている間にも、佐和子は楽しそうに喋っている。校庭からはそろそろ終わりの最終リレーの集合がアナウンスされていた。

「あ、佐和子、リレーだって!」

「え、もう?行かなきゃ行かなきゃ!」

 何と言っても体育祭のハイライトなのだ。これは見逃してはならない。二人で急いで校舎を走りぬけ、校庭へ向かった。


 体育祭と、その後の後夜祭も無事に終了し、校庭から打ち上げられて夜空にキラキラと散る花火を見て、あたしは充実感に包まれていた。全校生徒の大歓声。お祭りが終わったのだ。

 参加してよかった、そう心から思えた行事だった。めちゃくちゃ疲れたけれど、そのかいはあったというものだ。一人の怪我もなく全ての予定がちゃんと終わり、実行委員会のメンバーはウーロン茶で乾杯をする。感極まったメンバー達が酔っ払いみたいに泣きながら笑っているのを見て、あたしも感動しながら笑う。

 頭は興奮したままで重くなった体を引きずるようにして帰ってきて、肉料理を中心にお腹に詰め込み、あつあつのお風呂で体をほぐしてきたのだ。

 そしてここはベッドの上。

 あああ〜・・・・幸せ〜・・・極楽極楽!

 この1ヶ月、あたしはすっかり受験生なのを忘れていた。頭を使わず体を動かして、働きまくった。明日からはまた受験生に戻り、次の、連続で並ぶテストの団体さんと戦わなければならない。

 でも今日は、現実は全部忘れてこのままぐっすりと寝てしまおう・・・。

 うっとりとした気分で目をつぶる。手も足も体も、布団にとけてしまったような感覚だった。


 明かりをつけたままの部屋で時計の音がBGMになって、あたしはコテンと寝てしまった。






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