「仙道くんはさ…、
彼女、欲しくないの?」

「…は?」



ユジンから入れてもらった珈琲を口に含み、ソファーで寛いでいたら

隣に座っていたユジンがそう口を開いたのに、仙道は怪訝な顔つきで睨み付ける



「ああっ!気を悪くしたならごめんよっ!?
その…何て言うか、
仙道くん…カッコいいから…」

「………」



すると慌てて訂正をして
少し気まずそうにユジンはそう言葉を添える

仙道はというと未だ顔はしかめたまま、渋々珈琲を喉に流した



「…前はいた」

「そうなんだ…!
いいなぁ…羨ましい…」

「別に、良いもんでもねぇよ」



まるで花を飛び散らかせるように
ぽわんっと雰囲気を柔らかくさせ
ユジンは仙道を見つめる



「僕、こんな身なりだしオタクだからさ…、女性とそういう経験したことないんだよね…」

「…だろうな」


そのユジンの空気が気に食わないのか

目線はユジンには向けず
バツの悪そうに舌打ちを落とし
適当に相槌を打つ仙道



「一度でいいから、
付き合ってみたいな…」

「……っ」



夢を持つような純粋な言い方で
そう漏らしたユジンに
仙道の我慢は一気に越えられた



「帰る」

「えっ…あ、仙道くん!?」

「触んな」



ソファーに立ち上がった瞬間
乱暴に上着を袖に通し
ガンガン、下の階にも響くような足取りで仙道は扉へと向かう

ユジンは訳が判らずも
仙道の後ろを追い掛け、腕を引けば
バシッと仙道はその手を払い除けた



「ごごごっ、ごめんなさい!!
な、なんか怒らせちゃった!?」

「…うるせぇ」

「…っ仙道くん」

「……っ



ふいに聞こえたユジンのか細い声

仙道はピタリ、とそれに反応して
動きを止めた

瞬間



「…っい…!?」



ユジンに背に走る痛み

痛みで目を瞑り
恐る恐るそれを開けば

視界にはすぐ近くにある仙道の顔



「仙…道く…」

「…アンタは俺のこと、わかっちゃいねぇ…」



毎日家に行くのも

毎日アキハバラで話し掛けるのも

毎日ずっと考えてるのも



「…もう、アンタの話は懲り懲りだよ」



それでも、通じない。

俺が年下だから?男だから?

……ふざけんな。



「じゃあな」







先入観は棄ててくれ
(あんたはいつ、俺を見てくれるんだ?)






……………………
ユジンに行為を寄せてる仙道さんと
鈍感過ぎるユジンさん


続きます

mae tugi



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