Title/無題
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土方は自虐的に笑った銀時の顔を見上げてなんだか泣きたくなった。こんな顔で笑っていたっけ、とぼんやりと土方は考える。
 
「寒いよ」
 
他に言葉が出てこずに土方がぼそりと呟く。布団を剥いで上にのし掛かり、服を脱がそうとする銀時の目は闇に煌めく銀色の前髪に隠されて土方には見えない。
 
「冬だからな」
 
銀時が馬鹿みたいにそう答えて、土方のパジャマのボタンをはずし終え、冷えきった部屋の空気に土方の透き通るような美しい肌を晒させる。土方は抵抗をする気もおきず、ただ銀時のなすがままにベッドに横たわって銀時の顔を見つめていた。
 
「なんだよ」
 
不機嫌そうにそう言って銀時は土方の肌を撫で回す。
 
「そんな顔、するなよ」
 
もっといつものように、どこまでも世界と向き合って喧嘩を売るような、どきりとするような顔で笑ってくれよ、と土方は思う。土方の耳元で熱い息が吐かれる。
 
「なあ銀時」
 
ただ土方はピクリとも動かず寝転がって銀時に愛撫されたまま口を開く。
 
「なんだよ」
 
さっきと同じ台詞を吐いて銀時がこちらを見た。土方は艶やかな前髪に手をかけて銀時の顔が見えるように払う。
 
「好きだ」