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「#エロ」のBL小説を読む
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- ナノ -

02

「はあー、もうホンマ最悪やわ」

「また彼氏と喧嘩したの?」

「今度は何が原因なん?」

「向こうの優柔不断の酷さ。もう別れたわ」


空コマの間、キャンパス内にあるカフェで友人たちと時間を潰す。最近の大学って凄い。まさかタピオカミルクティーが飲めるとは思っていなかった。
太めのストローで啜りながら聞くのは友達の恋愛話に耳を傾ける。今回もどうやら彼氏に見切りをつけたらしい。


「じゃあ気晴らしにコンパでも行かへん?」

「え、行く。絶対に行くわ!!」


コンパ──大学に入ってから頻繁に聞くようになったこの言葉は、それはもう戦いを意味している。

私も現役の大学生なので、一応一度くらいは言ったことがある。

しかし、その独特な雰囲気というか空気というか……一度行っただけでかなり辟易した記憶がある。というかそもそも、然程彼氏が欲しいと思っていないような人間は行ってはいけない場所だった。


「〇〇も行くやろ?」

「いや、私はいいや」

「行くやろ?」

「いや遠慮しと「前の約束忘れたん?」」

「…約束?」


いつもはわりとすぐに引いてくれるのに、今回はやけに押しが強いので何かと思えば、約束と言われる。暫く脳内を逡巡させて、そこでようやく思い出した。前に誘われた時、その時も中々しつこくて、次は行くという条件で見逃してもらったのだ。


「…行きます」


正直すごく、ものすっごーく行きたくないけど、友達との約束は守らなければならないと教わった。

人見知りだし、彼氏が欲しいわけでもないけど約束を守るためにコンパに行く。そんな理由で行くのなんておそらく私くらいだろう。

…女子大生がこれで良いのかと思われるかもしれないけど、それくらいあの場所が苦手なのを分かってほしい。


「じゃあ今週の土曜日の18時から駅近くの花小町ってとこやから」


スケジュール帳を開いて、土曜日のところに書き込もうとして気がついた──バイトが少し被っている。

もっと被っていたら断る口実になったのにと思いながらも、1秒でも短くあの場にいれるならいいかとプラスに考える。ポジティブに生きるって大事。


「私、バイトと少し重なってるから途中から合流するね」

「日にち変えようか?」

「ううん。大丈夫、気にしないで」


自分の都合で日にちを変えるなんて申し訳なさ過ぎるし、そもそも乗り気じゃない私に合わせるなんて絶対にダメだ。

今日は水曜日だから土曜日は明々後日。既に憂鬱なことこの上ない。

周りのみんなは当日の服についてをもう話し始めている。きっとこれが本来の女子大生の姿なのだろう。


(まあでも私も多少は気にしておかないとだよね…)


気合入ってると思われるのも嫌だけど、かと言って地味過ぎるのも失礼だ。

だけど付き合いの参加だから普段より少し綺麗くらいにしておこう、そう自己完結させた。



(これから始まることに彼女はまだ気付いていない)