08
忍足くんと2人でご飯を食べてから数日経った。
あの日は結局忍足くんに奢られてしまった。(割り勘でいいという私の言葉は見事にスルーされた)
なので何かお礼をしなくてはと思案中。
うーん。男の人にお礼なんてどうすればいいんだろう?
今までお父さんや弟くらいにしかプレゼントって買ったことがない。
「〇〇。眉間に皺寄ってるよ」
同じ学部で友達の怜奈に声をかけられる。
「ねえ、怜奈。男の人にお礼って何が良いのかな?」
私の言葉に怜奈は目を見開く。
「〇〇の口からそんな言葉を聞く日が来るなんて」
すごい失礼な言葉だけど、まあ確かに珍しいことなので何も言わない。
「ほら、この前知り合った忍足くんとご飯行ったって言ったでしょ?その時奢ってもらったから…何かお礼したいなと思って。」
「なるほどね。ならちょうど良かった。これあげる」
怜奈がそう言って渡したのは2枚のチケット。
「これ…映画のチケット?」
「うん。この前商店街の福引で当たったの。ちょうど〇〇誘おうと思ったんだけど、その忍足くん?と一緒に行ってきなよ」
「えっ、何か悪いよそれは」
「私の事は気にしなくていいから。2人で行って来なよ!(多分、忍足くんもその方が嬉しいはずだから)」
「…うん。ありがとう怜奈!今度何か奢るね。」
「了解〜楽しんで来てね」
怜奈の言葉に頷く。
忍足くん、喜んでくれるかな?
* * * * * * * * * *
△△さんと飯行ってから数日経ったある日。
《今日って夕方に何か予定あるかな?友達から映画のチケットを貰ったので良かったら一緒に行きませんか?》
△△さんからというだけでも嬉しいのに、その内容にさらに顔がにやけ、即行でOKの返事を打つ。
《ありがとう!じゃあ17時に駅前の広場で待ってます。》
△△さんに会えるってだけで舞い上がってまう。
あー…もうホンマに嬉しいっちゅう話や。
今は昼過ぎやからまだ時間がある。
ホンマは今からでも会いたいんやけど、真面目な△△さんは講義サボったりはせえへん。
早く会いたい。
(君の事で頭が一杯なんや)