ギンガだんが しょうぶを しかけてきた!
「あれ、ナマエさん!」
「お、コウキ君だ」
ソノオタウンを観光していると、小さな女の子の手を引いたコウキ君がこちらにやってきた。
「その子は?」
「ソノオタウンから東に行ったところに”谷間の発電所”っていう施設があるんですけど、そこで働いている方の娘さんです」
大きなリボンを身に付けた可愛らしい女の子は、大きな瞳に涙を溜めていた。
何か悲しい事でも遭ったのだろうか。
コウキ君に何が遭ったのではないか、と私は尋ねた。
「実は『ギンガ団』っていうおかっぱに妙な格好をした人達が発電所を占領しているみたいで……。この子のお父さんもそこに」
コウキ君によると、その妙な格好をしたギンガ団と名乗る人達は、花畑に住んでいるポケモンを捕まえようとしたり、発電所のエネルギーを奪おうとしているそうだ。
ギンガ団というおかっぱで妙な格好をした人達……か。
そういえば……。
「おかっぱで妙な格好をした人、さっき見かけたよ」
「! 本当ですか!?」
「うん」
ソノオタウンを満喫していた時だ。
明らかに場違いな格好をした人達が歩いて行くのを見かけたのだ。
見かけた妙な格好をした人達の特徴は、コウキ君の言う特徴に当てはまる。
「あそこ……ソノオの花畑に入っていったの」
ソノオタウンの奥にあるちょっとした小道。
そこを抜けると、花畑が広がっているという。
その妙な格好をした人達が邪魔で入れず、実は困っていたのだ。
「ナマエさん、あいつらを倒すの手伝ってくれませんか?」
「……勿論。そのつもりだよ」
女の子はお父さんに会いたくて会いたくてたまらないんだろう。
コウキ君の手をずっと握って不安そうにしている。
困っている人から目を逸らすなんて事できない。
「ありがとうございます!」
「君はこの辺りにいるんだよ。町の中だったら安全なはずだから」
「うん……!」
不安そうな女の子を励まし、ソノオタウンから出ないように言う。
……ギンガ団、か。何だか団って着いてるとロケット団を思い出してしまう。
聞くからに良くない事をしているのは明らかだ。……止めさせないと!
近くの町の人に女の子を任せて、私とコウキ君はソノオの花畑へ向かった。
***
「今、ギンガ団は発電所を占領して外部から入れないようにされています」
「正面突破できない訳だね」
「でも、発電所のキーを花畑にいる仲間が持っているようなんです。そいつらから奪えば、あの子のお父さんを助け出せるはずです!」
「うん。じゃあこの先にいるギンガ団からキーを取り返す事が第一優先だね」
コウキ君から現在持っている情報を共有して貰い、状況を把握する。
ギンガ団の誰が持っているかまでは分からないけど、キーを取り返して発電所に入る。
発電所の中にもギンガ団はいるはずだから、キーを取り返したら突破という訳では無い。
「……よし、行こう」
「はい!」
小道を進み、花畑へ到着する。
そこに広がったのは、花畑には異質な格好をした人達……2人のギンガ団が一人の男性を責め立てている所だった。
「さあ! 黙って甘いミツを全部寄越せ!」
「そうだ! ギンガ団は沢山のポケモンをおびき寄せるために、それを必要としている!」
なんて迷惑な人達なんだ……!
そう思っていると、私達の足音に反応したのかギンガ団はこちらを振り返った。
「おい! なんかいるぜ? どうする?」
「うむ、誰かを呼ばれると面倒だ……。まあいい、コテンパンにすりゃいいだけの話だろ!」
そう言ってギンガ団はボールを投げた。バトル開始だ!
ボールから出てきたのはやはり見た事の無いポケモンだ。すぐに図鑑を出してポケモンを調べる。
「……スカンプーって言うのね」
毒タイプ……ますますロケット団を思い出してしまう。
「女のガキは俺が相手する! お前は男のガキだ!」
「……出てきて、ムックル!」
ボールを投げ、出てきたのはムックルだ。
ムックルの技は今日の朝に把握済みである。後は私とのコンビネーションだ。
別のギンガ団を相手にしているコウキ君をチラッと見て、目の前にいるギンガ団に目を向ける。
相当自信があるのか、怪しい笑みを浮べている。
……女だからって舐めないでほしいね!
「ムックル、”つばさでうつ”攻撃!」
「スカンプー、”みだれひっかき”!」
ムックルはスカンプーの攻撃を躱しつつ、技をぶつけた。
ムックルの素早い動きに追いつけないのか、相手のスカンプーは満足に技を繰り出せないでいる。
「”でんこうせっか”よ!」
「……来たな! スカンプー、”どくガス”だ!」
突っ込んで来たムックルの顔に吹きかけられたガス。
ムックルは避けきれず、毒を吸い込んでしまった。
2021/12/14
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