対 帝国学園



「ねぇ名前。ちょおーっと訊きたい事があるんだけど」

「……何でそんなに圧が強いの?ねぇ??」


学校

休み時間


次の授業の準備をしていると、春奈が僕の席へとやってきた。
実は僕の席は窓側で後ろから2番目の席、というまあ良い場所なのだ。……そこまで来たなら1番後ろが良かったけど。

と、そう言う事ではなく。
春奈の方へと顔を向けると、そこには目を半開きにしてこちらを窺うように見ていた。


「一昨日……、秋葉名戸学園との試合の日何してた?」

「え?家でゴロゴロしてたよ?」


勿論嘘である。
思いっきり試合に出ていました。
そして春奈のメイド服姿をこの目でばっちり見ましたけど?
……なーんて言えず。


「その試合でね、名前のお兄さんが出たの!すっごく似てたわ!!」

「ま、まあ僕と兄さん顔が似てるねーって良く言われるしー?」


これは本当の事だ。
顔は似てるけど髪の色が違うから違いはすぐに分かるけど。


「ねぇ名前、ちょっと髪下ろしてみてよ」

「えぇ、嫌だよ。これセットするのに結構時間掛けてるんだよ?」

「えー。なら私が結んであげるわよ」

「嫌だったら嫌だー」


僕は髪は短いが、量が多い。
…とはいっても、ギリギリ髪を結ぶ事が出来るくらいなんだけど。

7歳になるまで一度も髪を切ったことがなかった当時7歳の僕の髪は、7歳の身長で腰まであるというかなり長髪だった。
当時の僕は髪を上手く結ぶ事ができなかったので、兄さんが結んでくれていた。
因みに髪型はツインテールである。…今の僕からは考えられない髪型である。


「それより、次の対戦相手は決まったの?」

「次はねー…」


僕が話を逸らすと、それに気付かないまま僕が振った話に答えようとする春奈。
……この様子だと、一昨日の秋葉名戸学園との試合に出ていたのが僕だとは気付いていないようだ。
あれだけ実況者の人が僕の名前を呼んで、偶にフルネームで言っていたのに聞こえてないなんて……。
……最近ずっと思ってたけど、なんで僕は春奈にこんなにコソコソしているんだろう…。
自分の行動に呆れるしかなかった。





2021/02/20


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