〜 Attention 〜
ここから過去編に入ります。過去編では主人公名前とその兄、悠以外の名前ありオリジナルキャラクターが登場します。外見については登場した話の最後にオマケとして記載予定です。
また、イナズマイレブンのキャラクターは登場しない予定です。

過去編にて登場するオリジナルキャラクターについては、過去編のみ登場になります。主人公と悠、イナズマイレブンのキャラクターの発言でも直接的には登場しない予定ですが、存在を仄めかす程度の表現をする可能性はあります。


※過去編前の話で彼らの存在を仄めかした発言を主人公と悠がしていました。イナズマイレブンのキャラクターだと予想していた方はすみません。


主人公・主人公の家族以外のオリジナルキャラクターが苦手な方はご注意下さい。それでも大丈夫な方は、過去編をお楽しみ下さい。



***



微かな光が光輝になるまで



『お前、女のくせに生意気なんだよ!!』

『悠さんの妹だからって、調子に乗るな!』


……兄さんは昔からサッカーが上手だった。
それは所謂『天才』というものだと思う。

周りがそれに気づいてから、兄さんは幼いながらも『次世代のサッカー界を担う神童』と言われていた。そんな妹である僕にも、当然注目が浴びた。浴びたけど、それは賞賛というより『妬み』が多かった。


天才と言われる兄さんに憧れる人、恋い焦がれる人。はたまた、その才能に嫉妬する人。その人達は僕の存在を羨ましいと言って暴言を吐いたり、その嫉妬を僕にぶつけたりした。


『そもそも女がサッカーなんて変なんだよ』

『女は女らしく、おままごとでもやってろよ!』


じいちゃんとばあちゃんに引き取られる前……孤児院にいたときはそんなこと言われたことなかった。みんな楽しくサッカーしていた、男とか女とか関係なかったのに……ここではそれは異常だったようで。

会う度に吐かれる暴言に、昔の僕はずっと泣いていた。そして、あんなにも大好きなサッカーが嫌いになりそうだった。


『女の子にはサッカーが似合わない? そんな訳がないだろう? もしそうだったら、女性サッカー選手の存在を否定することになるよ』


けど、僕がサッカーを完全に嫌いにならなかったのは、兄さんの存在があったからだ。


『お前がサッカー上手だから嫉妬しているだけだよ。気にするなって言いたいけど……名前は気にしちゃうよな』

『だからこうしよう、相手が認めざるを得ないくらいに上手くなるんだ。そうだな、大会で一発優勝でもしてきたら、そんな大口叩けなくなるさ』

『妹だから贔屓してるって思われるかもしれないけど……俺はこのサッカークラブの中でお前はトップに食い込むほど上手いって堂々と言えるよ』


兄さんの存在は、当時の僕には大きな支えだった。
顔も名前も分からず、自分の中であまり存在が残らなかった両親より、兄さんの存在が何よりも大きかった。

だから、兄さんに迷惑を掛けていることが悔しくて……長かった髪を切った。男の子と思われる程に短く。それに合わせる様に、自分の事を”僕”と呼ぶ事を意識した……その結果、自分の事を僕と呼ぶ事が当たり前になった。

兄さんが毎日長い髪を2つに高い位置で結んでくれていたけど、それももう無くなる。髪を切ると言った時、兄さんは悲しそうだったけど僕の意思を尊重してくれた。


『別にサッカーやるならクラブに入っている必要は無い。……ここは広い場所が多いから、サッカーには持って来いの場所が多い』


兄さんは僕が髪を切るほどに思い悩んでいたことを後悔して、サッカークラブを一緒に辞めてくれた。その行動に申し訳なさと同時に、嬉しさもあった。
僕を想っての行動に安心していたんだ。


『名前、全員がお前の存在を否定するわけじゃない。あのクラブは俺達に合わなかった、そう思うんだ』

『大丈夫、名前の強さを理解してくれる人を探せば良いんだ。それなら、俺がいなくても寂しくないだろ?』


だから、この時兄さんが言っていた『俺がいなくても』の意味が分からなくて、当時の僕は首を傾げながらも頷いたんだ。
そもそも兄さんが傍にいない未来を考えつかなかったから。……兄さんは、この未来を分かっていたのかな、なんて。そんなわけがないのにね。


『さて、思い着いたのなら行動だ!』

『何をするのかって? そうだなぁ……俺達だけのチームを作ってみないか? メンバーはお前が見つけて選ぶんだ』

『勿論俺も手伝うよ、相手の人間像を見たいしね。俺が目指す司令塔になるためには、人間観察は鍛えなきゃいけない部分だし』


こうして始まった、僕と兄さんのチーム作り。
これが今の僕へ変わる第一歩だった。





2023/11/25


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