参戦! 光のストライカー
「……あ、もしもし響木さん?……ごめんなさい、許可貰えなかった」
自室に戻り、響木さんに説得できなかったことを報告する。
先程連絡する為に電話番号を交換したのだ。
『ふむ。親御さんの許可が下りないと参加できないからなぁ……』
「僕は行きたい!!宇宙人と戦ってみたいってのも理由の1つだけどさ……っ。雷門のみんなと、またサッカーがしたいんだ!」
僕の声は震えていた。
視界もどこか霞んでいて、涙が溜まっている気がした。
鼻水を啜っていると、電話越しにメロディーが聞こえた。もしかして着信音?
「……?響木さん、電話か何かが鳴ってません?」
『そうだな。少し席を外すぞ』
ガタッと音が鳴った。
携帯電話をどこかにおいたんだろう。
響木さんが戻ってくるまで近くにおいていたゲームをしていよう。
携帯にイヤホンを接続し、戻ってきた時にすぐに対応できるようにする。
「……?」
イヤホンからは微妙に声が聞こえる。
しかし遠いのではっきりと会話内容が聞こえるわけじゃ無い。
それに、恐らくだがその場には理事長もいるのだろう。声が聞こえる。
と、ゲームをしながら電話越しの状況を脳内で実況していると、響木さんの驚いたような声が聞こえた。
……どうしたんだろう?
『もしもし苗字。今、円堂達と一緒にいる監督から連絡が来てな、勝手で申し訳ないがお前さんの電話番号を伝えた。どうやら話がしたいらしくてな、暫くしたら電話が掛かってくるだろうから、出るんだぞ』
「う、うん。わかった」
本人に了承を得ずに伝えたのか……。
まあでも今はそんな事を気にするような状況では無い。
理事長も時間が無いって言ってたし。
通話を切り、響木さんが言っていた着信を黙って待つ。
……折角準備したのになぁ。
視界の先にある鞄をじっと見つめる。
その場に座り腕に顔を埋めた瞬間、携帯が震えた。
画面を見ると、知らない番号から着信がきていた。これがさっき響木さんが言っていた今サッカー部のみんなと一緒にいる監督さんかな?
通話開始のボタンをタップし、耳元に携帯を当てる。
「はい、苗字です」
『久しぶりね、名前』
電話越しから聞こえた声は、女性のものだった。
……僕の事を知っている?
「……すみません。雷門のみんなと一緒にいる監督で合ってますか?」
『ええそうよ』
「僕、あなたのこと知らないんですけど……」
『流石に声だけじゃ分からないわね。……私は___』
電話越しから聞こえた言葉に、僕は目を見開いた。
2021/02/22
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