突然三門市に「ゲート」が開き、地球上の現代兵器が通じない、異世界からの侵略者が街を襲った。
恐怖する人間達の前に謎の集団が忽然と現れ、たちまちのうちに怪物達を撃退した。
そして、人々にこう言った。


「此奴らの事は任せて欲しい」

「我々はこの日のために、ずっと備えてきた」


その集団は自らを、界境防衛組織『ボーダー』と名乗った。
その組織に所属している少女の話をしよう



***



雨が降り続く中、1人の少女が膝を着き下を見ていた。
少女の目線の先には、塵の山があった。
…だが、雨に溶けて段々とその山は無くなっていく。


「…弱くて、ごめんなさい…ッ」


綺麗なアルト声を震わせて、少女はそう言った。
少女の綺麗な顔に伝う雫は、雨水なのか涙なのか。

その少女の後ろから1人の男性が歩いてきた。
その人物に、少女は気付いていない様子。


「私が…っ、もっと強かったら……っ!」

「……強くなろう。彼奴の為にも」


少女の弱音に男性はそう返答し、雨に濡れている少女を後ろから抱きしめた。
塵の山は溶けてしまい、その中から黒い球体が現れた。
それを見た少女は、その黒い球体を手に取る。


「…うん。私、強くなる…ッ」


少女は後ろから回った腕に片手を添え、もう片方の手で球体を握りながら、男性の言葉に震えた声でそう答えた。


「…さぁ、帰ろう。………姿は違えど、それはお前の兄だ」

「…うん。忍田さん」


男性…『忍田 真史』に支えられながら、少女はその場を離れた。
黒い球体を手に強く握りしめながら。



____間もなくして、ボーダー本部基地が設立した。





2020/12/26


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