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side.碧色



「では、終わりにしましょう」


俺はブレードを悠一に向かって投げた。予想外だったのか、目を見開いて驚く悠一。まあ躱されたけど。
……さあて、これを躱すことが出来るかな?


「!? そんなのあり?!」


俺はトリオンで黒い稲妻を生成し、悠一に向かって放つ。
この稲妻は俺が操っている。だから生き物のように動く。…ブラックトリガーおれだからできるんだよ、悪いな悠一。
遊ばせておくもの可哀想だ。すぐに終わらせてやろう。


「___チェックメイト」

「!?」


その言葉と同時に悠一の真下から黒い稲妻を上へと生成する。実はこんな事もできちゃうんだな。まあこれは地面に着いていないと出来ないけど。
黒い稲妻は悠一の身体…トリオン体を四方八方に貫通していた。稲妻を消滅させれば、穴から漏れ出すトリオン。


「ブラックトリガー……はは、流石に勝てなかったや」


悠一はその言葉を最後に目の前から消えた。トリオン体を破壊されたから、どこかへ飛ばされたのだろう。これも緊急脱出ベイルアウトって奴なのかな。……いいなぁ緊急脱出ベイルアウト。俺にも付いてないかなぁ。……付いている訳がないんだけどさ。


『ご苦労だった。お陰で良いデータが取れたよ』

「はい」


この声はまさっちだな。


『換装を解いてこちらに戻ってきなさい』

「……このままではダメ」

『だ』

「……」


むぅ。もっとまさっちと話していたかったのに、ざーんねん。


「……交代だよ、名前」


どうやら俺の時間はここまでのようだ。
言葉に交代の意思表示を込めると、意識が闇へと落ちていった。





2021/02/25


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