殺し屋レオン:序

side.×



ついにこの日がやって来た!
沖縄リゾート2泊3日!
見えてきたあの島が……殺せんせーを殺す場所だ!


「どうぞ、サービスのトロピカルジュースです♪」

「わあっ!」


店員さんと思われる女性が僕達の座る席へドリンクを持ってきた。赤いハイビスカスの花が添えられており、南国にいる気分になる。


「わっはー!あのチャンネーめっちゃ可愛い!」

「それにあの格好、裸エプロンみたいでコーフンする……!」

「前原、岡島」


遠くからは前原君と岡島君のド直球の感想とそんな二人に注意する磯貝君の声が聞こえる……。そういえば前原君はこのリゾート来る前に学校で一緒におこずかい稼ぎしたけど、その理由が……うん。実に前原君らしい理由だった。

前原君と岡島君に絡まれているのは、オレンジ色の長い髪を一つに括り、ハイビスカスの髪飾りを付けた女性の店員さんだ。
しかしその格好は真っ正面から見ると、岡島君の言うとおり所謂裸エプロンの格好にしか見えないのだ。実際は上半身ビキニで下は短パンという格好である。


「なあなあ!この後暇?俺とあそぼーぜ!」

「えっ、あの…仕事中ですので……」

「前原、困ってるだろ」

「それに、遊んでる暇なんてないわよ」


そう。
今はちょっとした休憩時間中であるが、この後から僕達は忙しくなる。

まずはこの地形がどんなものなのか把握しなければならない。暗殺の時に重要だからだ。今日が決行日であるため、それぞれ班分けして地形を確認するようになっている。
しかしそれを殺せんせーに見られる訳にはいかないので、それぞれ殺せんせーと遊ぶと称して足止めをする。その間、他の班はそれぞれの役割を進める……そういう手筈だ。

なので僕達に遊んでいる時間はない。しかし、それは今日の時点である。今日殺せんせーを殺す事ができたら、明日は遊び放題だ!


「こんなに綺麗なところなのに、名前さん来れないなんて残念だなー」

「名前……リゾート……」

「カルマ君……」


茅野の言葉に真っ先に反応したのはカルマ君だ。
期末テスト以来、カルマ君は苗字さんをすごく気に入ったようで熱烈に絡んでいた。それはもう苗字さんがうんざりする程に。


「さて、そろそろ移動しようか」

「そうだな」

「渚、行こ!」

「うん」


少しの休憩を終え、僕達は事前に決めていた班へと分かれて島中に散った。



***



「ようこそ、E組諸君。さて、君達はどこまでやれるかな?」



オレンジ色の髪を靡かせた淡い青色の瞳の女性が、去って行く団体を見てそう呟いた。





2021/03/30


prev next

戻る














×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -