日本に舞い降りたとある暗殺者



「遠方からありがとうございます」

「…では早速、依頼内容を聞こうか」


用意されたソファーに腰掛け足を組み、目の前にいる役人に要件を言うように催促する。

……まあ、聞かなくても大体分かる。
最近、起こったあの件の話だろう。

____月を爆破した超生物
月の7割を崩壊させ、三日月にしてしまった化け物。
その化け物が、来年の3月に地球を破壊する、と言っているらしく、このままでは地球が危ない、という。


「ほう。…私にその化け物がいる、『椚ヶ丘中学校3年E組』へ潜入してほしい、と」

「はい。我々が入手した情報では、貴方は『15歳』との事でしたので、貴方には潜入して頂いて、超生物を暗殺して欲しいと思っています」


役人が放った言葉に身体がピクリと反応する。
…今、何と言った?


「失礼。…何故、私の年齢が15歳だと?」

「実は、我々に協力して頂いている方からの情報でして。この事態、と言うこともあり情報を提供して頂きました」


役人の言葉に怒りが湧き上がってくる。
“僕”の情報を、誰かがばらまいた。
その事実を知っている人は限られた人物のみだ。
…この事態だから、と言うのは関係ない。誰だ、僕の情報をばらまいたのは…!!


「……その、情報提供者はどなたでしょうか?」


何時ものように表情を変え、怒りを悟られないように尋ねる。
僕の質問に、役人は素直に答えてくれた。


「…なるほど。分かりました」


その役人からでた名前は、知らない人物だった。
誰だ、『シロ』って。
……まさか、知らない相手に情報が漏れていたのか?
それだったら、僕の“ミス”だ。
今までこのような失態を犯したことはないのに。


「話を戻しましょう。ターゲットは、その3年E組にいるんですね?」

「はい。…超生物はそのクラスの担任なんです」

「…た、担任?ターゲットは、教師をやっているんですか?」


役人によると、ターゲットは教師をやっていると言う。
…そのクラスに所属している人間を人質にしているのか?
まあそれについては後々行く事になる椚ヶ丘中学校3年E組へ行けば分かる。


「分かりました。ではそちらでは…」


ずっと被っていたマントをバサリと脱ぐ。


「苗字名前。こちらではそう名乗りましょう。そして、この姿で過ごします。資料作成はこの内容でお願いします」


マントの中を見て驚いている様子の役人に向かって、ニヤリと笑う。
女性の姿の方が何かと都合が良いからね。
それに、向こうが持っている僕の情報で色々と手続きを済ませては後々厄介だ。


「では、学校側の資料作成の為に、写真を撮らせて頂いてもよろしいですか?」

「どうぞ?」


役人に了承の返事をし、役人が構えていたカメラへ目線を向ける。

……流石に、気付いていないよね。
今、この姿が本当の『僕の姿』だと言うことに。





2020/12/26


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