ビジョンの時間



「……やっぱりね。全員無事じゃないか」


騒がしい場所へと足を進めれば、滝壺でターゲットと堀部糸成が戦闘中だった。
僕の予想どおり、ターゲットは生徒全員を助けていた。
前回も、シロの策略で窮地に陥っていたが勝利を収めていた。
さて、今回はどうかな?


「まじかよ!」

「あの程度の水のハンデは、なんとかなるんじゃ?」

「水だけのせいじゃねー」


おや、追いついたか。
もう少し掛かるかと思ってたけど。
聞こえた声……寺坂竜馬を見下ろす。

今僕がいる場所は3年E組生徒達がいる木の上だ。
彼らの意識はターゲットとシロ達に向いている。気配を消してはいるけど、恐らく最後まで気付かないだろうね。


「力を発揮できねーのは、お前等を助けたからよ。見ろ、タコの頭上」


彼の言葉に釣られて僕もターゲットの頭上を見る。
……あらま、中途半端に救出しちゃったのかな?崖に男子2人、木の根らしきものに捕まる女子1人。
……おい、女性の体重について話すのは失礼だぞ。ポッチャリだのヘビィだの太ましいだの……。


「……オマエ、ひょっとして今回のこと全部奴らに操られてたのか?」

「!……あぁ、そうだよ。目標もビジョンもねぇ短絡的な奴は、頭の良い奴らに操られる運命なんだよ。……だがよ、操られる相手くれぇ選びてェ。……奴らはこりごりだ。賞金持ってかれるのもやっぱり気に入らねェ」


だから、カルマ
寺坂竜馬が赤羽業の名前を口にした。
何を言い出すのか気になり、ターゲットとシロ達から視線を2人に変える。
……何を言うのかな、寺坂竜馬。


「テメーが俺を操ってみせろや!その狡猾なオツムで、俺に作戦与えてみろ!……完璧に実行して、あそこにいるのを助けてやらァ!!」


へぇ、なるほど?
彼なりに考えて出した結果だって訳だ。


「いいけど、実行できんの?……俺の作戦、死ぬかもよ?」

「やってやんよ、こちとら実績持ってる実行犯だぜ」


……んじゃ、赤羽業。君が考えた作戦見せて貰おうか。





2021/01/04


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