※当然のように捏造含む



「まさか、香菱さん以外にも弟子がいたとは……」

「何か悪いかい?」

「いえ、面倒見が良いと思っただけですよ」

「それは貴女にも言えますよ、名前」

「そうですか……?」


ピンさんと甘雨さんと合う約束があり、私は璃月港を訪れていた。海灯祭を経てから、璃月港を訪れることに以前より抵抗がなくなった。

……という私の意思を汲まれたのか、やたらピンさんと甘雨さんが私を璃月港へ誘ってくるんです。その度にへ璃月港に出かけることを伝えているのだけど、ちょっと不機嫌そうな顔をするのよね、あの人。なんでかしら。


「ほらヨォーヨ、挨拶しなさい」

「はい師匠! 初めまして、瑞相大聖さん!」


ピンさんの声に返事した幼い人間、名前はヨォーヨさんと言うそうだ。聞いたところ、ピンさんの弟子達の中で最も幼いのだとか。
……ピンさん、貴女一体何人の弟子をお持ちなんです?


「私は瑞相の名を持っていますが、普段は名前と名乗っています」

「そうなの? どっちで呼んだ方が良い?」

「はい、ヨォーヨさんの呼びやすい方で構いません」


私にとって人間は子供同然ではありますが、ヨォーヨさんは特に幼いように見えます。見た目通りの年齢で、純粋な子だからでしょうか。七七さんとは違った愛らしさがありますね。


「じゃあ、名前ねぇねって呼ぶね!」


私は定命のない存在ですから、年齢を気にしても切りがないのですが、やはり若い者のように呼ばれるのは嬉しいものですね。

……因みに、今を生きる純粋な仙人の中で言うなら、私は割と若い部類に入ります。ですので、ピンさんや留雲さんには子供扱いされてしまうのです……。



「あ、そうだ! 師匠から聞いて、名前ねぇねのためにこれを作ってきたの!」

「!!」


そう言ってヨォーヨさんが取りだしたのは……ハスの花パイ!!
好物の匂いが周辺に漂い、思わず鼻を鳴らしてしまった……。


「お、美味しそう……じゃなくて、なんで教えているんですかピンさん……」

「おや、駄目だったかい?」

「駄目ではありませんが……」

「なら良いではないか」


カラカラと笑うピンさんに何も言い返せない……。それに、ヨォーヨさんは厚意でハスの花パイを作ってくださったのは間違いないのだ。


「で、では。いただいても?」

「はい、どーぞ!」


両手で差し出されたハスの花パイを持ち、それを口に含んだ。


「……んん〜っ、美味しいです!!」

「喜んで貰えてよかったぁ。仙人様の口に合うか不安だったの」

「あまりに酷い出来じゃなければ、瑞相はなんでも食べるよ。あぁ、辛いものと熱いものも駄目じゃったな」

「熱いものは冷やせば何とかなりますが、辛いものは味なので冷やしてもあまり意味がなく……克服したいのですが、体質が合わず」

「無理に克服するのは良くないよ、名前ねぇね。一気にやると、危ないですからね!」

「は、はい」


ハスの花パイの感想を述べていたはずなのに、どんどん話は変わっていき……何故か私はヨォーヨさんに注意をされている……。それも、幼い人の子に……。

どこかヨォーヨさんの気遣いは、帰終様を彷彿させた。昔、幼く無知であった私を諭し、導いてくれたあの人に……。なんて、ヨォーヨさんは人間で、私より遥か後にこの世界へ生まれ落ちたというのにね。


「どうかしましたか?」

「え?」

「どこか懐かしんでいるように見えたので」


ふと、甘雨さんが声を掛けてきた。どうやら思い出に浸りすぎていたみたいですね。
隠す事でもないので、ヨォーヨさんとの会話で帰終様との記憶を思い出していたことを甘雨さんに話した。


「なるほど、彼女の事でしたか。貴女はずっと一緒にいましたものね。どれだけ些細なことでも、名前にとっては思い出を彷彿させることなのでしょう」

「でも、もう後悔には囚われていないつもりです。楽しく、美しい思い出だけを抱えて生きることをあの方に……そして、彼に誓いましたから」


あの夜、と共に鳳凰の舞を舞い、帰終様との思い出を良いものだけにすることを誓った。帰終様との思い出が沢山ある漉華の池で。


「あの方? 彼? 名前ねぇねと甘雨ねぇねは何の話をしてるの?」

「あの方というのは、昔璃月にいた魔神のことだよ」

「魔神? 悪いやつなの?」


そう言えば、少し時間が経ったとは言え、璃月は危機に直面したのでしたね。魔神オセルと、その妻である魔物……「渦の余威」跋掣。2つの存在が璃月を襲撃したのだと。

その時の話を当事者達……今ここにいるピンさんと甘雨さんは勿論、や申鶴さん……そして、空さんとパイモンさんから聞いた。

魔神について良く知らないのであれば、その存在は悪という印象が強いでしょう。


「いいえ。魔神だからと言って悪い者とは限りません。あの方は心優しい方で、私という存在を作ったといっても過言ではない方なのです」


貴女のような、優しく思いやりのある方だったのですよ。
そうヨォーヨさんへ伝えると、大きく愛らしい瞳を丸くした。どうやら驚いているようですね。


「えへへ……ありがとう名前ねぇね。ヨォーヨとっても嬉しいよぉ」

「これからもその優しい心を持ち続けてくださいね」

「うん! ……それで、彼は誰の事?」

……降魔大聖と呼んだ方が分かりますか?」

「あ、知ってるよ! 望舒旅館にいる仙人様だよね?」


ヨォーヨさんはの事を知っているみたいですね。認識があるのか、それともピンさんが教えたのか……どちらにせよ、彼のことを知る者が増えるのは嬉しい。


「ヨォーヨ話したことないんだけど、どんな仙人様なの?」

「不器用な人ですが、優しい仙人ひとですよ」

「誰が不器用だ」


突然、後ろから聞こえた声。
振り返ればそこには、今まさに話題に出していた存在、がいた。あれ、名前を呼んだつもりはなかったのだけど……。


「何故来た、とでも言いたげな顔だな」

「だってその通りなんだもの。どうして来たの?」


璃月港に近寄りたがらないのは、私だけではなくを知る者達なら知っていることである。驚くのも無理はない。


「妻の元へ訪れることに理由が必要か?」

「妻? もしかして、降魔大聖様と名前ねぇねは結婚してるの!?」


まさに興味津々です、と言うように話しに食いついてきたヨォーヨさん。思わずからヨォーヨさんへと視線を移した。


「結婚……人間で言えばその認識で合っていますよ」

「何せ、璃月一ラブラブな夫婦じゃからな」

「わぁ、仲が良いんだね!!」


ピンさんが言った”らぶらぶ”の意味は分かりませんでしたが、後にヨォーヨさんが口にした「仲が良い」という意味なのでしょう。


「まあ、喧嘩はしないですね。意見の食い違いは偶にありますが」

「それはお前が頑固なだけだろう」

「私にだって譲れないことはあるわ。それを頑固で片付けないでほしいのけど……」

「では、なんと言って欲しいんだ?」


何処か愉しそうにしている表情を浮べながら腕を組む。この顔知ってるわよ、私をからかっているときの顔だもの……!


「あっという間に二人の世界ですね。ヨォーヨ、ここはそっとしておきましょう」

「楽しそうな所を邪魔するのは良くないもんね! ヨォーヨ知ってるよ!」


……気付いた時には、何故かとても良い笑顔の甘雨さんとピンさん、そしてヨォーヨさんがこちらを見ていたんですが、あの笑みはどういう意味だったのでしょうか?



***



オマケ


好感度で開放されるボイスネタ
〇〇について

・名前→ヨォーヨ
「彼女に会う度にハスの花パイをいただくんです。それと一緒に”怪我はしていないか”だったり、”無理はしていないか”だったりと声を掛けてくださるのです。真に他人に思いやれる心を持つ者は、意外と少ないのです。」

・ヨォーヨ→名前
「師匠から名前ねぇねが普段どんな事をしているのか聞いたの。毎日璃月のために戦っているんだって。だからいつ会っても言いように、名前ねぇねが大好きなハスの花パイを作って持っていくようにしてるの。そして、いつもありがとうを伝えているんだ。あとあと……え、長い? そうかなぁ……?」






2023/12/02


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