第1節「体育祭に向けて」
「お父さん、名前の晴れ舞台を収める為にカメラを用意したんだ!!」
「あ、えっと……その……、首から下げているのって一眼レフじゃ……」
「勿論さ!良いものを撮りたいからね!!」
訓練が終わり、お風呂から上がるとお父さんがいた。
ちなみにお風呂はネロの薔薇風呂に強制連行され、危うく逆上せそうになった。彼女はまだ入浴中である。
「あら名前、訓練お疲れ様」
「あ、うん……」
私、直感スキル持ってたっけ?あ、アーサーが直感持ちだったよね。
……そんなことより、私が学校で何となくそうだな〜と思っていた事が現実になっているではないか!!
なんとか2人におかえり、と言って近づく。
「どこのヒーローも今年の1年生に目を惹かれてるそうだよ」
「そうなんだ……、でもなんで?」
「なんでって……敵連合と名乗った者達の襲撃に遭ったと言うのに犠牲者がいなかった。その場にいた教師の活躍は勿論だけど、生徒も敵に負けじと戦ったそうじゃないか」
く、詳しい……。
ヒーローの情報網って結構凄いのかな……。
「で、名前はまんまと個性がバレて狙われたらしいね」
「し、知ってたんだ……」
「校長先生から直々話を貰ったよ」
お父さん、校長先生と面識あったんだ……。
と言うことはお母さんも面識あるって事だよね……。
2人の顔、結構広いんだなぁ……。
「で、でも他の学年も見るんでしょ?ほ、ほら、スカウトって奴で……」
「今年は名前しか見ないって決めてたんだ!」
「名前が在学中はずっと貴女しか見ないわ♪」
それダメなんじゃないのかな!?
2人の考えに頭を抱えたくなる。
……見ての通り、今世で私の親となったこの2人は所謂”親バカ”っていう奴である。
何となく思ってはいたんだけど、私が去年敵に襲われた時……ヘドロ事件の時は仕事放って帰って、1、2週間は家に帰ってきていた。
これは親としては普通の行動なのだろうか。私には未だに両親像が定まっていないのでわからないけれど。
でも、私の事を思って心配してくれた2人に心が温かくなったんだ。
第1節「体育祭に向けて」 END
2021/07/04
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