第5節「入試」
雄英高校の受験が終わって数日後
「おかあさんっ、これおかあさん宛てだよっ」
「ありがとうジャック」
1枚の封筒を手に持ってジャックが部屋に現れた。
ジャックからその封筒を受け取り、誰からなのか確認する。
「……! 雄英からだ」
と言うことは、これは受験結果が同封されているもの……!
丁寧に封筒を開封していると、気になるのかジャックは私が作業しているものをみようと背伸びしている。可愛い。
一度開封作業を止めてジャックを膝の上に乗せる。あ、こっち見て笑った。可愛い。
「これなぁに?」
「前に受験しに行ったでしょ?あれの結果が書いてあるやつだよ」
ジャックの質問にそう答えると、後から大量の魔力を感知した。
……振り返らなくてもわかる。サーヴァントだ。
「通知とな!早く開けるのだっ」
「急かさないでよネロ、今開けるから」
私の両肩に手を置き、早く早く!とネロが言う。
彼らの反応とは逆に私は緊張していた。
封筒の中にあった包み氏を取ると、そこには物体が。
確かに封筒にしては少し重みがあったな……と思いながらもそれを机の上に置く。……瞬間。
『私が投影されたーッ!!!』
「ひぇっ!?」
急な事に驚き、椅子ごと後退してしまった。
謎の物体から映像が投影され、その映像にはオールマイトが映っていた。どうやら録音されたもののようだ。
「そんなものに驚いていては、先が思いやられるな」
「うぅ……」
ギルの指摘に何も言えず、萎縮してしまう。
……というより、なんでオールマイトが?
『久しぶりだね苗字少女!あの時は本当にすまなかった!』
オールマイトが言っているのは、恐らくヘドロ事件の事だろう。
……なんで私の名前知ってるの?あ、雄英受験したからか……。いや、オールマイトは雄英高校の教師じゃないよね?……あれ?
『実はこの町に来ていたのは、雄英高校に勤務する事になったからなんだ!』
なるほど、雄英に……って!えぇっ!?
オールマイト、教師もできるんだ……!!
『では早速、試験の結果を伝えよう』
オールマイトの言葉に、ごくりと喉がなった。
『筆記は特に問題は無し。次に、実技試験だ』
筆記試験の方は少し自信なかった所があったのだが、オールマイトによると問題無かったらしい。
そして次は実技試験だ。
『君が獲得した敵Pは20P!』
「……えっ?」
思ってたより低い!!
『君は同じ試験会場の受験者達より多くの仮想敵を倒していたみたいだが、ほとんどが1P敵だったみたいだ!運がない!!』
そういえば私、仮想敵の見分けができなくて片っ端からたたき壊してたんだ……!
結構な数を倒してたから自信あったのに、まさか全部1Pだったのでは……!?
しかし、今思えば1Pばかりなのは頷ける。
他の生徒達がポイントの高い敵ばかりを狙っていたから、1P敵は多く生存していた。
つまり私は、あまり積極的に狙われなかった1P敵ばかり相手にしていたという訳か……。
「……残念だったな、名前」
「それ追い打ちだよ、エドモン……」
士傑高校の推薦入試はまだ簡単だった。……”推薦”だったからかな。
『これだけだったら不合格になるんだが……』
「……え?」
その言葉に下げていた頭をあげ、首を傾げる。
『今回の試験!見ていたのは敵Pのみに有らず!』
「?」
『RESCUEP!審査制による我々がもう一つ見ていた基礎能力!』
なんと、私達が知らない場所でこんな事をしていたとは。
『ヒーローは身体を張って人を守るお仕事!……危険を承知で飛び込んでいった君には50PのRESCUEPが与えられた!___計、70P!!!』
心臓がドクンと大きく脈打った。
『合格さ、苗字少女!』
その言葉がじわじわと実感を与えた。
「ご、かく……、合格したあ〜ッ!!!」
膝の上にいるジャックを思いっきり抱きしめ、嬉しい気持ちを叫ぶ。
後ろから歓声の声があがっている。
「ありがとうみんな。みんなが私を鍛えてくれたお陰だよ」
一人一人目を合わせながら例を述べる。
そしてその中でも一番感謝しているのは
「ありがとうアーサー。力を貸してくれて」
「まだまだ使いこなせていないみたいだけどね」
「う……っ、それはこれから頑張って慣れるよ!!」
これで第一段階突破だ!
……いーちゃんとかっちゃんはどうだったのかな?
第5節「入試」 END
2021/07/02
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