第4節「神野区の悪夢」


side.轟 焦凍




俺達は緑谷と八百万が入院している病院前で待っていた。


「……八百万、どうだろうな」

「まあ、いくら逸っても結局彼奴しだ……!」

「来た……!」


病院の自動ドアが開く。
そこから現れたのは八百万と……緑谷。
2人はこちらへと真っ直ぐ歩み寄って来た。


「八百万、答え……!」

「………私は……っ」

「待て!」


後ろから聞こえた声。
そこにはいるはずもない人物……飯田がこちらへ歩いて来ていた。


「何で……何でよりにもよって君達なんだ……!俺の私的暴走を咎めてくれた…特に特赦を受けたハズの君達二人が……!!!何で俺と同じ過ちを犯そうとしている!?あんまりじゃないか……!」

「何の話してんだよ……!?」


前に出ようとした切島の肩に手を乗せ止める。
飯田が言いたい事は分かる。……兄の件、保須事件の事を俺と緑谷に言っているのだろう。


「俺達はまだ保護下にいる。ただでさえ雄英が大変なときだぞ、君らの行動の責任は誰がとるのかわかっているのか!?」

「飯田君、違うんだよっ。僕らだってルールを破っていいなんて……」


ゴチッ!!!
静かな空間にその音……飯田が緑谷を殴った音はよく響いた。


「俺だって悔しいさ!!心配さ!!当然だ!!俺は学級委員長だ!クラスメイトを心配するんだ!!爆豪君と苗字君だけじゃない!!……君の怪我を見て、床に伏せる兄の姿を重ねた!!君達が暴走した挙句、兄のように取り返しのつかない事態になったら___“僕”の心配は……っどうでもいいっていうのか!!」


緑谷の肩を飯田が掴む。
そして同じ事を言った……「僕の気持ちはどうでもいいっていうのか」と。
その声は震えていた。


「飯田君……」

「飯田」


だから伝えなくては。
この爆豪と名前二人の救出作戦の内容について。


「俺達だって何も正面きってカチ込む気なんざねえよ」

「………!?」

「戦闘無しで救け出す!ようは隠密活動!!それが俺ら卵のできる……ルールにギリ触れねえ戦い方だろ!」


無茶苦茶なのは分かっている。
自分たちの勝手な気持ちである事も分かっている。
それでも、ジッとしているだけは嫌なんだ。



***



「早速だが……ヒーロー志望の爆豪君。俺の仲間にならないか?」

「……寝言は寝て死ね」


場面は切り替わり、とあるバーにて。
そこにはヴィラン連合のメンバーと、拘束された爆豪勝己が存在していた。





2023/12/04


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