第12節「期末テスト」
七戦目
響香ちゃんと口田君ペアVSプレゼントマイク先生
二人とも音に関する個性だから、プレゼントマイク先生の個性は二人の上位互換である。
「声に関する相性か…。私も一応、皆に指示出すときは声に出すことが多いからなぁ」
「別に声に出さなくても念話があるじゃないか」
「あるけど……あれ、けっこう疲れるんだよ……。しかし、口田君は虫も操れるんだね。うぅ、さっきの光景思い出して鳥肌が……」
「マスターは虫苦手だっけ?」
「逆にどうやって好きになればいいの?」
口田君の個性のお陰でマイク先生を無力化。二人ともクリアだ。
もし私がマイク先生の立場だったら気絶とトラウマだよ……。
ちらっと見えたけど、私達が顔を青ざめているとは対象に梅雨ちゃんは平気そうだったな……。あれ、カエルって事は……えっ、そう言う事!?
八戦目
透ちゃんと障子君ペアVSスナイプ先生
「透ちゃんの個性は透明化……。障子君の個性は複製腕か」
「彼女の個性は私達の霊体化と同じなのかい?」
「いいや、恐らく異形型だから常に透明なんじゃないかな?」
「だからあんな芸当が出来るんだよ」とモニターを見ながらマーリンに言う。
モニターに映ってるのは、コスチュームを脱いでスナイプ先生を欺きカフスを嵌めた透ちゃんと、スナイプ先生を引きつけた障子君だ。
……一緒のチームになった事があるから分かるんだけど、あの状態全裸なんだよね……。
「……!もしかして」
「?どうしたんだい?」
「先生達が私に与えた課題……分かったかも」
「……へぇ。聞かせて貰おうか」
「うん。その前に、そろそろ試験会場に向かわないと」
私の試験会場はちょっと遠いのだ。
峰田君と瀬呂君の演習試験を見る事はできないけど、仕方ない。
「名前ちゃん、行くの?」
「うん。そろそろ行かないと試験に間に合わないかなって」
「そっか。……頑張れ!」
突き出された拳。
いーちゃんの意図に気づき、自分の拳を軽く当てる。
「頑張ってね名前ちゃん!」
「応援してるわ」
お茶子ちゃん、梅雨ちゃん、百ちゃん、飯田君からも応援の言葉を貰いながらモニタールームを後にした。
その直後、峰田君と瀬呂君ペアの試験開始のアナウンスが流れた。
***
「さ、君の答えを聞かせて貰おうか」
「うん」
試験会場へ徒歩へと向かう途中。
「さっき透ちゃんと障子君の試験を見て、もしかしたらって思ったんだ」
透ちゃんの動きをサポートする障子君。
……それを見て、先生達は『サーヴァント達の実力を把握したいのではないか』と考えついた。
私の個性はサーヴァントに擬態し、彼らの力を使う事が出来る個性だが、別に擬態しなくたって彼らを生かす事はできる。
恐らく両親によって教師側に伝わっているはず。
もし彼らを擬態せずに使う場合…その場合に至った時に信頼に値する強さがあるかを図りたいのかもしれない。
「なるほどねぇ。君がどれだけ私達を扱えるか、か。確かに君にだけペアがいないという事は、そうと考えられるかもしれないね」
「うん。この試験でサーヴァントの力を見極めたいんだと思う」
この世界で私が前世の記憶を持って生まれ変わっている事を知っているのはごく僅か。
……だから、サーヴァント達との付き合いがどれだけ長く濃いものなのか知るものは少ない。
「見せてあげようよ、私達の絆!」
「勿論、マイロード」
「それで、アクアをどうやって無力化するかなんだけど……」
私の試験会場は水辺メインだが、木材で作られた足場や草木が生えた場所がある。
有利なのは間違いなくアクアだ。
「……なるほど。少しだけ私を『扱う』事が分かったかな?」
「そうだといいな。……アクアを無力化するならこれしかないと思うの。どこであろうと被害は最小限に抑えなきゃいけないから。サポートは誰よりも貴方が優れてると思ってる。……頼んだよ、キャスター」
「仰せのままに」
マーリンと話していればあっという間に試験会場へと着いた。
それと同時に峰田君と瀬呂君ペアが試験をクリアというアナウンスが流れた。
心の中でおめでとう、と言葉を送り試験会場へ足を踏み入れる。
『苗字。演習試験スタート』
アナウンスによって試験開始の合図がかかった。
「……いくよ、キャスター!」
「仰せのままに」
2022/2/16
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