I LOVE YOU | ナノ


I LOVE YOU(恋人設定)




 今日のルリは、明らかに様子がおかしかった。もともとおしゃべりではあるけれど、今日はおしゃべりというか饒舌というか……
(いや、違うな……)
 コイツ、無理してしゃべってる。根拠があるわけではないが、たぶん気のせいではないだろう。何かあったくせに、それを隠そうとしている。オレに口を挟む間も与えないくらい、話し続けることで。
(……意地っ張り)
 素直に甘えてくればいいのに。なんで、いまさら隠そうとすんの。
 どんなに笑顔を作っても、言葉を繕っても、伝わるものはある。作り笑顔に気付けないとでも思われているのだろうか。それとも、何も聞くなという牽制なのだろうか。
「……ちょっと、聞いてるの?」
 悪いな、全然聞いてなかった。そう正直に答えたら面倒なことになるのは明らかなので、テキトーに流すことにする。どっちにしろ、ルリからは文句を言われたのだが。
 オレはわざとらしくため息をついた。ため息をつきたいのはこっちよ、と言わんばかりに睨んでくる大きな瞳。……やっぱり、少し、疲れが見られる気がする。
「ため息ついたのは、話流して文句言われたことに対してじゃねぇよ」
「え?じゃあ何?」
 わたし、気に障るようなことした?慌てるルリに頷いて返事をすると、ますます彼女は動揺した。
「おまえ、無理しすぎ」
「……何、言って……っ」
「いいから、もう黙れって。……んな意地張んなくて、いいから」
 牽制だとか、そんなのオレには関係ないね。聞かれたくないなら、聞かないから。だけど、無理に笑ったりすんな。
 お互いの表情が見えないように胸に抱え込めば、彼女の身体が強張った。けれど、それは一瞬で。すぐに力を抜き、ゆっくりと頭を凭れてきた。
 頭をポンポンと撫でてやれば、ためらいがちに背中に腕が回される。なかなか甘えてこないのは、性格もあるし仕事柄ってのもあるだろう。
(だけど、オレには甘えたっていいんじゃないの?)
 そんな想いが伝わったのか、ルリの腕に力が込められた。表情は見えないけれど、なんとなく想像できる。
「コースケくん……」
「ん?」
「……ありがと」
 小さく呟かれた、その言葉。返事の代わりに彼女の髪を梳けば、もう一度、ありがとうと言うのが聞こえた。




××.××.××
愛していると言ってくれバトン(「I LOVE YOU」を夏目漱石が『月がキレイですね』と訳し、二葉亭四迷は『わたし、死んでもいいわ』と訳したと言います。さて、あなたなら「I LOVE YOU」をなんと訳しますか?もちろん、「好き」や「愛してる」など直接的な表現を使わずに答えてください。)
というもので、山吹亭のタカコ様が「いいから、もう黙れって。・・・んな意地張んなくて、いいから」と訳し、素敵な絵を描かれていたので、小話をつけさせていただきました
我が家のいずルリは大学生設定ですが、これは社会人設定で




























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