恋愛相談
「…で、どう思う宮城」
「いや、どう思うって言われても」
「俺はどうしたら言いと思う?」
「そんなこと言ってたら、三井サン一生ヘタレのまま…って、痛ぇっ!!」
こっちだって好きでテメェなんかにこんな相談してるワケじゃねーんだ!
だって、俺の周りには何故かこういうのに無縁なヤツしかいねーんだもん!!
「それにしても珍しいこともあるんスね。三井サンが恋愛相談なんか」
「う、うるせーよ」
他の連中がまだ来ていないのを良いことに、部室でコソコソと話す俺と宮城。
なんだかんだ言いながら、俺の話を聞いてくれる宮城は良いヤツだと思った。
「委員長に恋とは、三井サンもなかなか」
「なんだよ」
「いや、別に。こころさんスよね?その委員長って」
「…なんで知ってんだ」
「俺一回告ったことある…って、痛ぇっ!?」
「お前にはマネージャーがいるだろ!」
前言撤回!良いヤツなんかじゃねー!
そんなの初耳だ。
わなわなと震える俺を見て、宮城は「笑顔で断られましたよ。俺はブロークンハート」と苦笑いをしながら言った。
…まぁ、そんなの当たり前だろ!と思いながらどこかで安心している俺。
「ていうか、話聞いてるとスゲェ仲良さそうに見えるんスけど」
「ああ、まぁ、仲は悪い方じゃない」
「…俺なんて、アヤちゃんに上手にかわされまくる毎日…。少しその幸せそうな青春分けてくださいよ」
「無理」
ハァァァァ…と深いため息をついた宮城。軽く目が逝っている。
「…なんか、三井サンだけ幸せになるのが許せなくなってきた」
「あ?どういう意味だコラ…って、ハァ!?何すんだテメェッ!」
いきなり俺に飛び掛ってきた宮城は、何故か俺の顔に自分の顔を近づけてくる。
それを必死に避ける俺だったが、宮城の鬼の形相に軽く負けそうになる。
「こころさんに奪われる前に、その唇俺が奪ってやるー!」
「はぁっ!?何言ってんだよ!つかどっからそんな話が!」
…コイツをココまで追い詰めるあのマネージャーなんなんだよ!
と、心の中で叫んだと同時、部室の扉が開いた。
それと同時に飛び込んできた二つの声。
「三井くーん!忘れ物だよ!バッシュ机の横に置きっぱなしだった!」
「リョータ、居るの?声が外まで漏れてたけど何やってんの?」
…噂の委員長様とマネージャー様だった。
床の上で重なり合って固まる二人の男と、扉の前で動きが止まる二人の女。
「ご、ごめん。お邪魔しました。また来るね三井くん…」
「リョータ…!アンタ穴があれば性別はなんでも良いのね…」
バタン。勢いよく扉が閉まった。
「「って、違う!」」
宮城も正気を取り戻したようで、勢いよく部室から飛び出していった。
そして、マネージャーに勢いよく殴られていた。
…さぁ、俺はどうしたもんか。
コレで学んだこと。
相談事は木暮にしよう。